• 背景色 
  • 文字サイズ 

島根県水産試験場研究報告第12号(平成17年3月発行)

全文(PDF,4650KB)

(タイトルをクリックするとPDF形式の全文がご覧頂けます。)

 

島根県浜田沖に沈設された高層魚礁に蝟集する魚類の経年変動

森脇晋平・為石起司・若林英人・松本洋典・田中伸和・齋藤寛之

(基幹漁業対策漁場造成調査事業、平成12年度〜15年度)
島根県浜田沖水深104mに設置された高さ40mの高層魚礁において2000年10月〜2004年3月まで28回の一本釣りによる試験操業をおこなった。調査期間を通じて11科27魚種309.8kgの漁獲があり,1日当たりの平均漁獲量は11.06kgであった。魚礁への分布様式ではII,III型に属する魚類がほとんどを占め,設置直後からIII型の魚類の蝟集が顕著であった。
島水試研報,No.12,1-6(2005)

 

底曳き網漁獲物の鮮度保持の実態

石原成嗣

(水産物高鮮度流通技術開発試験事業/水産物利用加工技術開発試験事業、平成10年度〜11年度)
島根県の底曳網漁業における漁獲物の鮮度保持実態を調査した。初めに県下の小型底曳網漁業(以下小底)の漁獲物の鮮度を調べた。その結果,漁船により鮮度保持の実態に差異があり,特に上氷法で保存する船の場合,漁獲物の鮮度が低下する傾向が認められた。一方,船上で冷海水により漁獲物洗浄を行う沖合底曳網漁業(以下沖底)漁獲物は,24〜48時間経過後にもかかわらず,漁獲物の鮮度は均一で小底と比べほぼ同水準であることがることが明らかとなった。これらの結果は漁獲直後の速やかな低温管理が重要であることを示唆するものである考えられた。
島水試研報,No.12,7-12(2005)

 

インジェクション法を利用した魚肉への冷凍耐性付与技術の開発

開内洋・井岡久

(先端技術等地域実用化研究促進事業、平成14年度〜15年度)
インジェクション法を用いて食品添加物溶液を魚類に注入することで,冷凍耐性の高い高品質な冷凍魚をつくる技術開発試験を行なった。シイラ,ヨコワ,マサバ等に塩類,糖類,pH調整剤,酸化防止剤とアミノ酸等を注入し,−20℃で2ヶ月以上凍結した後,解凍後の品質を評価した。塩類注入区はドリップ抑制効果が高く,生鮮時とほぼ同等の数値が得られた。重曹(pH調整剤)注入区は魚肉のpHを上昇させる効果が認められた。酸化防止剤注入区では魚肉(普通肉,血合肉)の色調の保持効果が認められた。グリシン(アミノ酸)注入区は魚肉の酸味を改善し,甘味を付加することができた。これらの結果は,インジェクション法による高品質化の可能性を示唆するものであり,また従来の水産加工品への応用にも役立てる情報である。
島水試研報,No.12,13-23(2005)

 

大田市柳瀬海域におけるサザエの大量斃死現象と原因の検討

内田浩・由木雄一

(浅海増養殖試験事業/魚病対策指導事業、平成14年度〜平成15年度)
柳瀬海域で発生したサザエの大量斃死の状況把握と斃死の原因を検討するために調査を実施した。その結果,サザエ漁獲量は隣接する海域と異なって減少傾向が続いており,その減少傾向とポンプ工事の経過が比較的合致した。また,高水温期に減少幅が多くなることが分かった。そして2002,2003年の斃死状況を把握した。飼育実験においては,干拓地の排水でサザエが斃死し,それに砂泥が加わると斃死割合が多くなること確認した。干拓地内には生物が分布しており,農薬の影響がでているとは判断できなかった。斃死の原因を特定することはできなかったが,干拓地からの排水が一因となっている可能性があると判断した。対応策として,排水機の運用方法の協議や使用農薬の把握等ができる体制がとれるよう提案した。
島水試研報,No.12,25-32(2005)

 

島根沿岸の流れ藻に付随する魚類の出現特性

森脇晋平・為石起司・齋藤寛之・古江幸治・若林英人

(沖合漁場整備対策事業、平成14年度〜15年度)
島根県沿岸海域における流れ藻付随性重要魚類の出現パターンを検討した。流れ藻に付随する産業上,重要な稚魚類の出現パターンには異なった2つのタイプの存在が示唆された。1つは補給源が浜田(島根県西部)より西にあり,流れ藻に相対的に長期にわたり付随・成長するタイプで,ブリ(モジャコ),メダイ,メバル類がこれに属する。他の1つは補給源が島根沖あるいは沿岸・局所域にあり,相対的に短期間しか流れ藻を利用しないタイプである。ウマヅラハギ,カワハギがこれに該当する。またモジャコの出現状況は海況に密接に関連していることが示された。
島水試研報,No.12,33-42(2005)

 

ばいかご漁業における選択漁具の開発

為石起司・村山達朗

(沖合漁場資源調査事業、平成8年度〜9年度)
島根県西部のばいかご漁業は,エッチュウバイの1隻当たり漁獲量を20トンに自主制限している。そこで,資源保護と漁獲生産金額の維持・増加を計るため,単価の安い大型貝(親貝)の漁獲を制限し,単価の高い中,小型貝(未成貝)選択して漁獲出来る漁具の開発を試みた。また,並行してエッチュウバイの成熟サイズの検討を行った。その結果,かごの入り口にスリット間隔34mmの蓋を取り付けることにより,殻高90mm以上の大型貝に対して漁獲選択性が現れることともに,殻高60〜80mmの中型貝への漁獲効率が高まることが明らかとなった。また,雄は殻高75mm以上,雌は殻高80mm以上で産卵親貝に加入することが推測された。
島水試研報,No.12,43-48(2005)

 

小型底びき網漁業1種における漁具軽量化試験

若林英人

(複合的資源管理型漁業促進対策事業、平成11年度〜12年度)
小型機船底びき網1種漁業の漁具および操業方法を検討するため,漁具の水槽実験,試験船および当業船による試験操業を実施した。漁具構成が左右対称型で,水中重量は現行のものと同程度ながら空中重量では約1トン軽い漁具を開発した。実証試験の結果,開発した小型軽量漁具使用中の水揚金額は,使用前の水揚げ金額とほとんど差がなかった。
島水試研報,No.12,49-66(2005)

 

漁獲管理情報処理システムの開発

村山達朗・若林英人・安木茂・沖野晃・伊藤薫・林博文

(漁獲管理情報処理システム開発整備事業、平成9年度〜平成11年度)
水揚げ情報を迅速に収集し漁獲可能量(TAC)を適切に管理するため漁協の販売データを水産試験場に転送して漁獲データベースを構築するシステムを開発した。運用上の課題として,(1)エラー処理に対する担当者負担の軽減対策,(2)コード名の変更に対する漁協職員負担の軽減への対処を講じることの必要性を指摘した。さらに,(3)将来予想される漁協合併に際して必要な措置をとっておくことも重要である。
島水試研報,No.12,67-78(2005)

 

島根県敬川沖における魚類の出現特性(I)

松本洋典

(沿岸漁場開発調査事業/第2県土水産資源調査事業、昭和56年度〜平成15年度)
本資料は,1982年〜2003年にかけて行われた島根県敬川沖での底びき網による調査によって採集された生物のうち魚類に関するデータを出現リストにして整理したものである。その結果,20目103科259種の魚類が本海域に出現した。
島水試研報,No.12,79-86(2005)

 


お問い合わせ先

水産技術センター

島根県水産技術センター(代表)
〒697-0051 浜田市瀬戸ヶ島町 25-1
TEL.0855-22-1720 FAX.0855-23-2079 E-Mail: suigi@pref.shimane.lg.jp