水産技術センター研究報告16号(2024年3月)
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報文
江の川での養成アユ親魚の放流効果を推定するための屋外水槽実験(寺門弘悦・二本木俊二・沖野晃)(PDF1,055KB)
江の川での養成アユの親魚放流による増殖効果を推定するための水槽実験を行った.2021年10月10日,人工産卵場を設置した実験水槽内にアユ親魚100尾(うち雌51尾)を収容した.10月22日から12月8日までの間,ふ化仔魚の採集を8回行い,2回目以降仔魚が採集された.2回目は仔魚を灯火採集し計数した.3回目以降,各調査日で灯火採集を10~11回繰り返し,環境条件の影響を除去したデータにDeLury法を適用し,仔魚尾数を推定した.調査期間中にふ化した仔魚は145万尾と推定された.実験水槽内と河川で水温を比較し,実際に江の川に親魚放流を行う場合でも同程度の仔魚数の産出が期待できると考えられた.
資料
2022年の江の川におけるアユの産卵場造成と産卵状況 (寺門弘悦・谷口祐介・沖野晃・二本木俊二)(PDF1,404KB)
江の川での天然アユ資源の回復を図る取り組みへの技術支援の一環として,アユ産卵場の事前調査および産卵状況調査を行った.2022年8月下旬に本流・江の川下流の6地点および支流・八戸川で行った事前調査の結果,ハネノセ,谷住郷の瀬,長良の瀬および八戸川に産卵適地があり,その面積は合計405m2と推定された.この結果から産卵場の面積不足が懸念され,10月中旬に長良の瀬で重機による産卵場造成が行われた.10月下旬に行った産卵状況調査の結果,全調査地点でアユ産着卵が確認され,産卵面積は合計6,380m2であった.このうち産卵場造成を行った長良の瀬の産卵面積は2,065m2で,この年の主要産卵場と考えられた.
島根県沿岸域におけるケンサキイカUroteuthis edulisのタル流し釣漁業の導入に向けた基礎的調査(寺戸稔貴)(PDF927KB)
県内のいか釣漁業は夜釣漁業が一般的だが,他県では設備投資額が低いタル流し釣漁業が日中に行われており,本漁法を導入することで操業の低コスト化が期待される.本研究では県内での本漁法の導入にかかる基礎的知見の収集を目的に試験操業を行った.各試験操業日のケンサキイカ漁獲尾数は1~49尾,漁具の使用個数は8~14個,漁具1個当たりの漂流時間は22~124分だった.また,福岡県では漁具の使用個数が20個程度と多めにもかかわらず漁具1個当たりの漂流時間が約60分と効率的な操業が行われていると推察される.県内でも福岡県と同様の方法を実践することで,ケンサキイカ漁獲尾数を増加させることが可能と考えられた.
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