農村基盤の整備
ほ場整備事業
令和2年度現在、松江県土整備事務所管内において、松江市で3地区、安来市で5地区のほ場整備を実施しています。
ほ場整備とは、農業機械の大型化を進めるのに支障となっている小区画で不整型な農用地を大きく整形し直し、営農に必要な農道・用水路・排水路等を併せて整備します。
また、ほ場整備を行うことで、地域営農の中心となる農業経営体に農地利用を集中する「農地集積」を併せて実施することにより、土地の利用条件を向上させています。
さらに、経営規模の拡大にあたっては、農地が複数の場所に点在している場合、ほ場間の移動に費やす時間の増加や農業用機械の効率的な利用の妨げになる等、一連の実施に支障が生じるとともに、経営規模拡大によるスケールメリットを十分に活かせないため、面としてまとまった形での「団地化」、「農地集約」を進めていくことも重要です。
松江市でのほ場整備
松江市では、市街地から東に向かって中海北岸に広がる平坦な水田地帯をはじめ、市街地から西に向かって宍道湖北岸に広がる水田地帯において、平成30年度から順次、県営ほ場整備を実施しており、現在は新庄地区、西谷上地区、古曽志地区の整備を進めています。
松江市の農業は水稲を中心として、飼料用米、WCS用稲及び加工用米等の水田農業に取り組み、花き類では海外への出荷が好調な特産品のボタン、国内で評価の高いトルコギキョウ、果樹では西条柿などにも取り組んでいます。
また、中海及び宍道湖は、西日本最大の湖沼面積を誇り、特異な汽水生態系を構成し、日本一の「ヤマトシジミ」の漁獲量をはじめ、水鳥類の越冬地として豊かな自然・景観を有するだけではなく、平成27年度には現存する天守が国宝してされた「松江城」等、歴史的な文化遺産が数多く存在することから、観光地としても人気のある地域です。
ほ場整備事業では、1,200m2(60m×20m)程度の狭小区画を10,000m2(100m×100m)程度の大区画化するとともに、大型営農機械に併せた農道の整備、用水路のパイプライン化、暗渠排水を兼ねた地下かんがいシステムなどを実施しています。
【新庄地区】(松江市新庄町)
地区面積:A=53.9ha
整備期間:平成30年度〜令和5年度(予定)
【西谷上地区】(松江市西谷町)
地区面積:A=20.2ha
整備期間:平成30年度〜令和5年度(予定)
【古曽志地区】(松江市古曽志町)
地区面積:A=52.7ha
整備期間:令和2年度〜令和7年度(予定)
西谷上地区に関するお問い合わせは
農村整備課0852-32-5650(直通)
新庄地区に関するお問い合わせは
ほ場整備第一課0852-32-5653(直通)
古曽志地区に関するお問い合わせは
ほ場整備第二課0852-32-5656(直通)
安来市のほ場整備
安来市では市街地から南に一級河川伯太川と飯梨川を遡った位置に広がる約800haの能義平野を中心として、平成8年度から順次、県営ほ場整備を実施しており、現在は大塚地区、宇賀荘第三地区、安田地区、吉田地区の整備を進め、令和元年度からは、市街地から約15km南西の一級河川山佐川沿いに広がる水田地帯においても整備が始まっています。
能義平野は県下でも有数の穀倉地帯であり、平野内では稲作のほかにも、ほ場整備を契機とした大規模(100ha規模)な大豆生産や、「安来節:どじょう掬い踊り」にちなんだドジョウの養殖が行われています。
また、世界に認められた日本一の庭園を持つ「足立美術館」をはじめ、水田への冬期湛水によりねぐらを確保したコハクチョウやマガンなどの越冬地となっていることから、観光地としても魅力のある地域です。
ほ場整備事業では、大正から昭和初期にかけて整場されていた1,200m2(60m×20m)程度の狭小区画を10,000m2(100m×100m)程度の大区画化するとともに、大型営農機械に併せた農道の整備、用水路のパイプライン化、暗渠排水を兼ねた地下かんがいシステムなどを実施しています。
【大塚地区】(安来市大塚町ほか)
地区面積:A=123.8ha
整備期間:平成23年度〜令和2年度(予定)
【宇賀荘第三地区】(安来市宇賀荘町ほか)
地区面積:A=110.2ha
整備期間:平成29年度〜令和4年度(予定)
【安田地区】(安来市伯太町)
地区面積:A=67.2ha
整備期間:平成27年度〜令和2年度(予定)
【吉田地区】(安来市上吉田町ほか)
地区面積:A=51.6ha
整備期間:平成29年度〜令和4年度(予定)
【下山佐地区】(安来市広瀬町)
地区面積:A=18.2ha
整備期間:令和元年度〜令和6年度(予定)
その他のほ場整備について
島根県農林水産部の農村整備課の「しまねのほ場整備」に事例紹介があります。
安田地区、吉田地区に関するお問い合わせは
ほ場整備第一課0852-32-5653(直通)
大塚地区、宇賀荘第三地区、下山佐地区に関するお問い合わせは
ほ場整備第二課0852-32-5656(直通)
かんがい排水
農作物の栽培に必要な農業用水の安定的な供給と農作物の洪水被害の軽減や農地の排水不良解消を目的に農業用の用排水施設の新設や改修を行います。
(用水路、排水路、ダム、頭首工(堰)、揚水機場、排水機場等)
【実施地区】
東潟ノ内地区(松江市浜佐田町)
1.工事内容:排水機場1箇所
2.工事内訳:1排水樋門(更新)8門
2排水ポンプ(更新)φ1800mm2台、φ500mm1台
3除塵設備(新設)3台
4上屋補修1式
この排水機場は、佐陀川の右岸側の農地、農業用施設などが冠水しないように、洪水時に排水ポンプ
を運転して、地域内の水を強制排水する施設です。
排水機場が造成後40年以上を経過し、老朽化が著しく、点検修繕が頻繁で維持管理及び施設機能低
下による運転管理に支障が生じているため、設備を新しく更新するものです。
3.施工年度:平成21年度〜平成26年度
4.東潟ノ内地区位置図
5.工事内訳の説明
1.排水樋門(更新前)
造成後40年以上経過し、老朽化が著しくゲート操作ができなくなるなど支障を生じていました。
排水樋門(更新後)
排水樋門及び操作設備を更新したことにより、ゲートの操作性が向上し、排水ポンプの効率的な運転が可能となりました。
2.排水ポンプ(更新前)
造成後40年以上を経過し、排水ポンプ設備は老朽化が著しく、排水能力の低下と運転管理や維持管理に支障が生じていました。
また、従来のポンプを運転するためには、最初に真空ポンプなどの補機類の運転を順次手動で操作していかなければ本体ポンプを始動させることが出来ず、熟練した管理者でなければ運転が出来ませんでした。
排水ポンプ(更新後)
操作盤(更新後)
排水ポンプ設備を更新したことにより、設備の性能向上による排水能力の向上、ポンプを駆動するディーゼルエンジンの燃費向上等による運転管理費の低減が図られました。
また、操作盤のスイッチを押すだけで必要な補機類が自動で順次運転し、本体ポンプが運転開始するよう自動化したことにより、洪水時の排水作業も確実かつスピーディな対応が可能となり、安心して営農が続けられるようになりました。
3.除塵設備(更新前)
従来は、固定式の鋼製スクリーンが設置してあり、スクリーンに堆積したゴミは熊手などをつかい人力で掻き揚げて処理していました。特に、梅雨、台風等で排水ポンプを運転するときは多量のゴミが流れ込むため、受益関係者の方々の協力により作業を行われていました。
しかし、迅速な対応が出来ないことや、長時間異常気象が続いた場合作業者の確保が困難なこと、作業は大変な危険を伴うなどから、ゴミ処理が間に合わず度々ポンプの運転に支障をきたすことがありました。
除塵設備(更新後)
自動除塵設備の設置により、スイッチ操作ひとつでゴミを掻き揚げて、ベルトコンベヤによりゴミ溜マスまで運搬されます。迅速かつ安全にゴミ処理が行われるようになりました。
(参考)平成18年の洪水被害状況
平成18年7月豪雨災害では、佐陀川が氾濫し、周辺の農地や道路などが冠水しました。
東潟ノ内地区に関するお問い合わせは
農村整備課0852-32-5650(直通)
基幹水利施設ストックマネジメント事業
国、及び県が造成した基幹的水利施設を対象に、施設の機能を長期にわたり保全するため機能診断を行い、施設の機能保全計画を策定した上で、補修等の対策工事を行います。
水利施設整備事業(基幹水利施設保全型)
【実施地区】
揖屋地区(松江市東出雲町)
整備内容:国営中海干拓事業の一環として整備(S48供用開始)された、揖屋干拓地の排水機場の基幹水利施設(排水ポンプ、除塵設備)の補修・補強
整備期間:平成25年〜平成27年
農地防災事業
農地や用水路・排水路・ため池・堰・水門などの農業用施設を、自然災害・地すべり被害などから守るための工事を行っています。
また、豪雨・台風・地震・津波などの異常などの天然現象によって被害を受けた、農地や農業用の用水路・排水路・農道・堰・ため池などを直すための災害復旧事業も担当しています。
なお、災害復旧事業の直接の窓口は市役所になります。
農業用河川工作物応急対策事業
【実施地区】
堂の前地区(安来市清瀬町)
整備内容:安田川にある老朽化した堰の改修
整備期間:平成21年〜平成23年
整備費用:111百万円
整備前
整備後
昭和40年代に建設されており老朽化が著しく、また大水により堰が変状したため普段の操作が難しくなり、洪水時には堤防を超えて川の下流への浸水被害が発生する恐れがあるため堰を改修しました。
現在は、安来市鳥木町地内(鳥木地区)において、吉田川にある堰の改修を実施しています。
引き続き、管内にある老朽化した農業用の河川工作物の改修を順次行っていく予定です。
農業用河川工作物応急対策事業の鳥木地区に関するお問い合わせは
ほ場整備第一課0852-32-5653(直通)
その他の農地防災事業に関するお問い合わせは
農道・防災課0852-32-5658(直通)
ため池整備事業
大規模な地震等の発生に伴って決壊その他の事故による被害を生ずるおそれのある農業用ため池や、老朽化した農業用ため池の改修を行っています。
県内にある農業用ため池の緊急点検結果に基づき、危険順位の高いものから改修しています。現在、松江市西生馬町の半田池、東出雲町の湯谷池、古曽志町の京塚池、そして大垣町の室屋池の4つのため池の整備を進めています。
〈施工事例〉
改修後
【実施地区】
半田地区(松江市西生馬町)
事業名:農村地域防災減災事業
整備内容:ため池堤体改修
整備期間:平成24年度〜平成27年度
半田池
湯谷地区(松江市東出雲町)
事業名:農村地域防災減災事業
整備内容:ため池堤体改修
整備期間:平成24年度〜平成27年度
湯谷池
ため池等整備事業に関するお問い合わせは
農道・防災課0852-32-5658(直通)
農村整備課0852-32-5650(直通)
お問い合わせ先
松江県土整備事務所
〒690-0011 松江市東津田町1741番地1 島根県松江合同庁舎 電話(0852)32-5719 ファックス(0852)32-5763 E-mail:matsue-kendo@pref.shimane.lg.jp