「トロトロ層」の形成で雑草発生が激減
長期間湛水を続けた有機栽培試験水田で2012年に「トロトロ層」の形成を認めました。同水田では、多くの雑草種子が出芽できない深さに分布しており、2013年には雑草の発生量が激減しました。
有機栽培水田などでは、作土層の上部に手ざわりが滑らかで有機物に富む膨軟な層、いわゆる「トロトロ層」が形成されることがあります。
2012年に8月上中旬を除く4月から11月まで湛水管理したセンター内の有機栽培水田においても、イトミミズが多く発生し、11月に「トロトロ層」の形成が認められました。土壌を調査したところ、深さ0〜3cmの浅い部分は深さ3〜15cmに比べて、粒子の細かい土が多く、雑草種子が少ないことが分かりました(図1)。
その後、同じほ場で湛水を継続し、2013年6月に代かき、田植えを行い、その8日後に土壌を調査したところ、0〜3cmの浅い部分には雑草種子が少ない状態でした。このため、2013年は前年と比べて、雑草発生が極めて少なく(写真1)、水稲の生育は良好で、10a当たり収量は547kgになりました。
現在は、トロトロ層を短期間で確実に形成させる技術について研究を進めています。また、雑草種子の埋没以外での抑草要因を調査する予定です。
2012年7月(層形成前)2013年7月(層形成後)
写真1雑草発生の状況(同一ほ場)
【抑草効果が期待できるトロトロ層】
湛水条件下でイトミミズが頭を土中に突っ込んで細かい土や有機物を食べ、水中に突き出したお尻から排泄した糞等が堆積した層。大きくてイトミミズに食べ残された雑草種子等は下方へ埋没します。ある深さより下方に埋没した雑草種子は出芽できなかったり休眠に入るため、抑草されると考えられています(例:雑草が出芽しやすい深さ:ノビエ0〜3cm、コナギ0〜0.7cm)。
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