土壌診断に基づくリン酸肥料の削減
生産コストの削減や環境負荷軽減を目的に施肥量の低減が求められています。キャベツを対象に試験を行った結果、リン酸分が蓄積しているほ場では、土壌診断に基づく適切なリン酸施肥を行うと施肥量を削減可能であることが分かりました。
リン酸肥料は、原料のほとんどを輸入に依存しており、価格が高い水準で推移しています。肥料コストを低減するには、合理的な施肥を行うことが重要であり、県内で栽培面積が大きく、経営費に占める肥料費の割合が12%と高いキャベツを対象に、リン酸施肥量削減の可能性を検討しました。
島根県の土壌診断基準では、野菜露地畑の有効態リン酸(作物が吸収しやすいリン酸)含量の目標を土壌100gあたり10から30mgとしています。キャベツの事例調査では診断基準を上回る場合が多く、土壌にリン酸分が蓄積されていることが分かりました。
そこで、県内おけるキャベツの主要産地である中海干拓地で、土壌中の有効態リン酸含量が基準値よりやや多いほ場を選び、リン酸肥料を施用しない無リン酸区を設けて秋冬どりキャベツの試験栽培を行いました。
無リン酸区ではキャベツの生育やリン酸吸収量で慣行施肥区と差がなく、収量(結球重)も同等で(図1)、リン酸肥料を削減可能であることが分かりました。
一方で、無リン酸栽培をすると土壌中の有効態リン酸含量の減少も明らか(表1)で、肥料を削減するには定期的な土壌診断に基づく施肥量の判断が重要といえます。
図1リン酸肥料施用量とキャベツの収量
表1キャベツ栽培土壌中の有効態リン酸含量
試験区 | 有効態リン酸(mg/100g) |
|||
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H22年 |
H23年 |
|||
栽培前 | 収穫時 | 栽培前 | 収穫時 | |
慣行施肥区 | 33 | 35 | 37 | 40 |
無リン酸区 | 37 | 26 | 46 | 31 |
注)品種H22年:夢舞台、H23年:松波
慣行区のリン酸施肥量(kg/10a)
H22年:23.6、H23年:28.6
栽培ほ場は、H22年とH23年で異なる。
※本調査は、農林水産省の「減肥基準策定に向けたデータ収集事業」において実施しました。
印刷用ページ:PDFファイル(588KB)
問い合せ先:資源環境研究部土壌環境グループ(担当:朝木隆行・角治夫)
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お問い合わせ先
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