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針金を用いた結縛処理によるイチジクの着果安定と収穫前進化

                   栽培研究部 果樹グループ 大畑和也

 

結縛処理 イチジクの果実は新梢基部の1〜2節を除いて各節に着果します。しかし、若木などで特に樹勢の強い場合には5節位まで、時には7節位まで不着果や飛び節が生じ、収穫期の遅れや収量の低下をもたらしています。
 そこで、樹勢調節により収穫の前進化と着果安定を図るための技術として、新梢基部への針金による結縛処理について検討しました。

 

 ○結縛処理の方法
 結縛処理は、植え付け3〜4年目の樹勢の強い、雨よけ栽培で一文字整枝の‘桝井ドーフィン’で行いました。処理時期は6月中旬、7月中旬、8月中旬とし、処理位置は新梢の第4節とし、針金を用いて図1のように巻き付け、ペンチで樹液が出てくる程度までしっかりと巻き付けました。

 

 

○結果の概要
 年次別の1新梢あたりの収穫個数、収穫量、果実収穫率(収穫果実/着果予定段数)を見ると、2005年では6月及び8月処理区で、収穫個数、収穫量が多くなり、収穫果実率が高くなりました(表1)。2006年では、7月及び8月処理区で収穫量が多くなりました。
 月別の収穫割合を見ると、結縛処理によって10月で高く、11月では低下しており、収穫の前進化が見られました(図2)。    
 結縛処理によって新梢の伸長抑制や肥大抑制も見られたことから、光合成産物の果実への分配率が高まったために着果安定や収穫の前進化が図られたと考えられます。

 

収量比較   収穫時期

 

○おわりに
 結縛処理は、強樹勢の若木園や収穫時期が遅れている園で処理を行います。処理方法としては、くもり鉄線#15〜17を用いて6〜8月中旬に新梢の4節に処理を行います。処理部は風に弱く、折れやすいので、新梢の誘引がしっかり行える一文字整枝の‘桝井ドーフィン’では有効ですが、‘蓬莱柿’等のように新梢の誘引をあまり行わない品種には向かないと考えられます。


 アクロバット全文(アクロバットファイル)

 

 


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