ブドウ新品種‘シャインマスカット’の品種特性
栽培研究部果樹グループ永原美里
‘シャインマスカット’は、1988年に独立行政法人農業技術研究機構果樹研究所において安芸津21号(スチューベン×マスカット・オブ・アレキサンドリア)に白南(カッタクルガン×甲斐路)を交配して育成された新品種です。2006年に品種登録され、緑色系品種の中でも大粒で食味が優れており、有望品種として全国的に注目されています。そこで、本県における特性および適応性を明らかにするため、果実特性及び果実品質を調査しました。また、果皮の汚損の発生が認められるため、袋掛けによる軽減効果を検討しました。
○結果の概要
2004〜2006年に、雨よけ栽培の‘シャインマスカット’について果実特性及び果実調査を行い、緑色系優良4品種を対照として比較を行いました(表1、2)。収穫期は9月上旬とやや晩生で、果房重は623g、果粒重は12gと本県育成の‘しまねスイート’並みに大粒でした。果肉は崩壊性で硬く、マスカットの香りを持ち、糖度は21.1%と‘ハニービーナス’と同様に高くなりました。酸含量は0.28g/100mlと最も低く、酸抜けは良好でした。裂果の発生は‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’程度で、皮はやや剥けにくいですが、皮が薄いので皮ごと食べることができます。
また、果皮の汚損を軽減するため、白色袋を用いて袋掛け試験を行ったところ、無袋では100%汚損果が発生するのに対し、有袋では、40〜50%程度汚損果の発生を軽減することができました。さらに、満開2か月後よりも1か月後の方が汚損果発生率が少なく、早期に袋掛けする方がより効果が高いことがわかりました(図1)。
○おわりに
‘シャインマスカット’は大粒で、食味が良いだけでなく、栽培も容易であることから、‘デラウェア’との複合経営品目として振興する予定です。しかし、果皮の汚損についてはまだ、原因が明らかになっておらず、対策についても確実な方法が得られていないため、早急に原因解明と軽減対策を検討する必要があります。現在、本県での適性を明らかにするため、県内8戸の農家で実証栽培を行っています。
〔島根県農業技術センターだより第7号2007年12月〕
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