ブドウ‘デラウェア’における裂果低減のための房作り
園芸部果樹グループ持田圭介
本県特産のブドウ‘デラウェア’では、梅雨入り後に成熟期を迎える作型において、降雨の多い年に裂果が多発し、生産額減少の大きな要因になっています。この裂果は、果粒内膨圧に果皮が耐えきれなくなると発生しますが、特に密着果房で果粒が圧迫しあう場合に多発します。
一方、この作型の摘粒時期は、早期加温栽培の収穫期と重なることから、摘粒作業に多くの時間を充てられない状況にあります。そこで、省力的でかつ裂果低減に有効な摘粒方法を検討しました。
○試験(調査)概要
雨よけ栽培‘デラウェア’を用い、表1のように処理区を設定しました。
表1各区の処理方法(表は略AcrobatDataを参照)
図1一挙区における摘粒の状況(図は略AcrobatDataを参照)
○結果の概要
累積裂果発生率は、一挙区(着粒密度:約8〜9粒/cm)が最も低く、次いで順次区(同:約10粒/cm)であり、遅延区(同:約10粒/cm)および密着区(同:約13粒/cm)は高く、特に密着区では収穫直前の裂果発生が多くみられました(図2)。これは、密着区では果粒どうしの圧迫が大きいうえ、果皮強度が順次区および一挙区と比較し、明らかに小さかったことが原因と考えられました(図3)。
図2‘デラウェア’における摘粒方法の違いが裂果発生率に及ぼす影響(図は略AcrobatDataを参照)
図3‘デラウェア’における摘粒方法と果皮強度の関係(2004)(2段目)(図は略AcrobatDataを参照)
○今後に向けて
一挙摘粒は、省力的で裂果抑制に効果的な摘粒方法であることが明らかになりましたが、樹ごとの果粒肥大をある程度正確に推定しなければ粗着になりすぎ秀品率の低下につながります。したがって、樹勢が強く花冠不離脱粒(びっくり玉)が多い房では果穂軸長1cm当たり8粒程度、通常の房では果穂軸長1cm当たり10粒程度になるよう、ジベレリン後期処理期頃に摘粒すると秀品率が高まり、裂果発生低減にも効果的であると考えられます。
[島根県農業技術センターだより第2号2005年11月]
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