光反射シート折り込み寒冷紗を利用したイチゴの害虫防除
環境部病虫グループ澤村信生
近年、生産者・消費者から環境にやさしい農業が求められています。このような中、ハダニ、アブラムシ類の防除に天敵が使用されています。イチゴの害虫にはこれ以外にアザミウマ類、ハスモンヨトウ、オンシツコナジラミがあげられます。特にアザミウマ類は収穫期後半に被害が発生し、果実を加害し収量を減少させます。しかし、アザミウマ類に対しての生物農薬(タイリクヒメハナカメムシ)は、気温が低い条件では定着が悪いためイチゴ栽培では有効に働きません。
そこで、害虫の光に対する忌避効果を利用した光反射シート折り込み寒冷紗を用いて、ハウスサイドの開口部を遮へいすることによるアザミウマ類侵入防止効果について検討しました。また、アブラムシ類に対する効果についても併せて紹介します。
○試験概要
品種:章姫、定植:平成16年9月19〜20日、収穫:平成16年12月28日〜17年6月5日、ハウス面積:180m2、光反射シート折り込み寒冷紗の設置:10月8日(図1)。
図1光反射シート折り込み寒冷紗区の設置状況(図は略AcrobatDataを参照)
○アザミウマ類に対する効果
4月中旬以降、気温の上昇を防ぐため入り口ドアを終日開放状態での試験となりました。アザミウマ類の侵入は4月上旬からみられ、5月以降急激な増加がみられました。光反射シート折り込み寒冷紗区は5月27日の100花あたりの寄生数が無設置区の約1/4と少なく侵入抑制効果が認められました(図2)。
図2光反射シート折り込み寒冷紗によるアザミウマ類の防除効果(図は略AcrobatDataを参照)
○アブラムシ類に対する効果
光反射シート折り込み寒冷紗区では栽培期間を通してアブラムシ類の密度は低く侵入抑制効果が認められました。無設置区では12月5日に寄生株率38.9%となり、薬剤防除により密度を抑制しました。その後、2月下旬から再び増加し4月24日には30.6%となり、薬剤散布を行いました。なお、両区とも定植時に粒剤処理を行い、持ち込みによるアブラムシ被害を防いでいます(図3)。
図3光反射シート折り込み寒冷紗によるアブラムシ類防除効果(図は略AcrobatDataを参照)
○今後に向けて
光反射シート折り込み寒冷紗による、アザミウマ類、アブラムシ類に対する侵入抑制効果は高く、ハウス入り口にも設置することによりさらに効果が高まり、寄生数の減少による収穫期間の延長や収量増が期待できます。
[島根県農業技術センターだより創刊号2005年7月]
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