農業技術センターの設立に寄せて
所長糸川賢行
今春、県の組織再編により、関係機関や多くの方の期待を背負って、従来の農業試験場の試験研究業務に農業改良普及事業の技術普及業務を併せ行う、農業技術センターが設立されました。これにより当センターは、試験研究から現地への技術移転まで一体的に行うひとつの機関として、職員116名を抱える大きな組織に改編しました。着任から4か月余りが過ぎた今、改めて新体制で臨む方向を2点だけ述べたいと思います。
一つ目は研究と普及の連携です。県では、社会・経済環境の急激な変化や財政状況の悪化などから、これまでの県行財政のあり方を見直し、新たな県政の基本指針「島根県総合計画」(平成17年3月)を策定しました。
同時に、農業分野でも「新農業・農村活性化プラン」が見直され、今後3年間の農業振興方針や具体的行動計画が策定されました。これからは施策の選択と集中が徹底され、必要性、妥当性、緊急性、有効性等の評価・判断を重視して施策展開がなされます。
これらの変革の動きは研究機関においても例外でなく、限られた予算で課題を絞り、早く確実に成果を出すことが求められます。また、成果の早期普及と県民への貢献度が強く問われています。従って、技術開発や新品種の育成等を行う研究部門と、研究成果の普及と現場の要望を把握し研究部門に伝える技術普及部門が、車の両輪となってスピード感を持った対応を目指します。
二つ目は時代に即した試験研究の実施です。当センターは、明治8年に県の農業試験研究機関として設立してから今年で130年を迎えました。長い歴史の間に、数多くの研究成果が生まれ、本県の農業振興に寄与すると共に、生産の拡大や地域経済の発展に大きく貢献してきました。
今後も県の試験研究機関として、地域独自の課題、全国レベルで緊急に対処する必要のある課題について解明するとともに、一歩先を見据えた先端技術の開発にも取り組みます。
農業者や関係機関の皆様と連携しながら現場の声を柔軟に反映する機動的な体制で、農業技術を総合的に支援する拠点として県民に親しまれるセンターの運営を行いたいと思いますので、今後とも一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。
[島根県農業技術センターだより創刊号2005年07月]
お問い合わせ先
農業技術センター
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