切り花の鮮度保持流通への取組みとトルコギキョウの新出荷箱について
はじめに(花きの高品質供給性必要性)
「品質と日持ちの良い切り花を安心して購入したい。」という消費者の要求は大きいものがあります。特に夏場の品質保持についての要望は大きく、また、この要望に対応できる産地はその評価を高めることが可能です。
そこで、今年度、「専門技術員高度化事業」を活用しながら、花き高品質供給を目指して産地及び市場の実態に対応したトルコギキョウの新出荷箱の開発を行いましたので紹介します。
花きの高品質供給の考え方
まず、高品質な花きの供給については「切り花の高品質生産」と「切り花の高品質維持」の両面からアプローチする必要があります。
そこで、生産者段階では、高品質栽培に心掛けるとともに、採花の時間・方法、選花の徹底にも努めています。また、花の種類によっては延命剤や抗菌剤が使用されています。そして、最近は水を入れたバケット等に切り花を活けながら、絶えず水分を補給して輸送する(湿式輸送)方式が開発され実用化されています。
トルコギキョウ新出荷箱の特徴
そうした状況下にあって、今回、開発したトルコギキョウの新出荷箱は、高品質供給に関する情報収集、試作を行いながら、生産者、全農しまね、メーカー他県関係者などと協議を重ねて、次のような特徴を持つ出荷箱を作製しました。
(1)乾式、湿式(縦、横)両輸送に対応可能な出荷箱
●同じ箱で湿式輸送が必要な市場には湿式方式で出荷し、また、必要性の少ない市場には従来通りの乾式方式で出荷が可能です。
●湿式輸送ではビニール袋装着による箱一体組立方式「バッグボックス」を考案し、箱組立の簡易化と低コスト、省資源化を図りました。
(2)通風穴の設置
●箱上面、側面に通風穴を開けることにより、湿式箱で問題となる蒸れを防止しました。
(3)その他の工夫
●箱サイズ、作業性、デザイン、低コスト化、ゴミ減量化を強く意識して作製しました。
今後の花き高品質供給への対応このトルコギキョウの出荷箱は今年度2,000枚以上が作製され、生産者、市場等から好評を得ています。
今後はこのトルコギキョウ出荷箱の作製で得たノウハウを他の切り花出荷にも応用しながら、島根県産花きの高品質供給と産地評価の向上に努めていきたいと考えています。
専門技術員スタッフ川村通
[島根県農業試験場だより第108号2005年3月]
お問い合わせ先
農業技術センター
島根県農業技術センター 〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380 nougi@pref.shimane.lg.jp <携帯・スマートフォンのアドレスをご利用の方> 迷惑メール対策等でドメイン指定受信等を設定されている場合に、返信メールが正しく届かない場合があります。 以下のドメインを受信できるように設定をお願いします。 @pref.shimane.lg.jp