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ブドウ‘デラウェア’の根域集中管理による必要最少土量

 

本県のブドウ栽培面積は約400haであり、このうちの約7割で加温栽培が行われています。しかし、12〜1月に加温を開始する作型では、樹勢衰弱による収量、品質の低下が問題となっています。また、生産者の高齢化が進み、樹勢維持のための土壌改良を実施するところが少なくなってきています。
そこで、土壌改良を効率的に行うために、幹を中心にした狭い範囲に根を張らせ、その部分の施肥、水分管理を集中的に行い活力の高い根域を作る、根域集中管理法(図1)について検討しました。
試験は、‘デラウェア’を用い、1樹当たりの土量を0.25〜1.5m3に変えて植え付け、3、4年目に早期加温栽培を行いました。
1樹当たりの樹冠占有面積を25m2(早期成園化を目指した島根県基準40本/10a植え)になるように拡大し、適正な生育を維持できる最少土量を検討しました。芽数および施肥量は、全ての土量で一定としました。

図1根域集中管理を行ったほ場(深さ30cmの正方形ボックス)(図は略AcrobatDataを参照)

図2土壌改良範囲と樹冠占有面積及び平均新梢長(2000)(図は略AcrobatDataを参照)

図3樹冠占有面積と改良範囲(図は略AcrobatDataを参照)

その結果、樹冠占有面積25m2を満たした土量は、0.5m3以上でした(図2)。また、果実品質は、0.25m3において1樹当たり収量、1房重、1粒重が劣ったことから、高品質を維持できる土量は0.5m3以上でした(表1)。しかし、0.5m3では、樹冠占有面積および生育ともに適正ぎりぎりの範囲であったため、好適樹相を保つことができる最少土量は1樹当たり0.5〜0.75m3と考えられました。
このことから、10a当たりの必要最少土量は20〜30m3程度と考えられ、植栽本数にあわせた1樹当たりの根域集中範囲が明らかとなりました。
仮に、40本/10a植えでは、1樹当たりの樹冠占有面積25m2に対して根域集中範囲は、深さ30cm、地表面の改良範囲2.08m2/1樹となりました(図3)。
また、この最少土量は、慣行の土壌改良範囲の1/5程度であり、土壌改良範囲が縮少されることで、深耕作業の省力化、土壌管理の徹底が図れると考えています。
ただし、この最少土量での栽培は水分管理が重要となるため、マイクロスプリンクラーや点滴かん水など、かん水設備を充実する必要があります。

表1土量の違いが収量及び果実品質に及ぼす影響(2000)(表は略AcrobatDataを参照)

園芸部果樹グループ大野泰司

 [島根県農業試験場だより第107号2004年11月]


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