水稲有望系統「西海232号」
本県における早生熟期の水稲奨励品種「祭り晴」は、平成15年作付面積1,005ha、面積比率5.4%ですが、品質面の不安定さなどから、この熟期の良質、良食味で栽培適性の優れた品種が強く求められています。特に、米政策の変革によりますます産地間競争が激しくなることが予想されるため、市場評価の高い品種が望まれます。
このような状況の中、品種の選定を進めてきたところ、「西海232号」が総合的に有望であることがわかってきました。
来歴
「西海232号」は1991年に九州農業試験場(現在の九州沖縄農業研究センター)において、「キヌヒカリ」を母、「愛知92号(祭り晴)」を父として人工交配により育成された系統です。
特性
「西海232号」の主な特徴は食味評価が優れ、白葉枯病抵抗性が「祭り晴」より強い点です。
「祭り晴」と比較した特性概要「西海232号」の特性表略
- 出穂期が2〜3日、成熟期が3〜4日遅い早生熟期の系統。
- 稈長が長く、穂長が短く、穂数がやや多い。
- 収量性は同等〜やや多収。
- 玄米は千粒重がやや重く、外観品質は同等〜やや良質。
- いもち病抵抗性は中でやや弱く、白葉枯病抵抗性はやや強〜強で強い。
- 穂発芽性は中〜やや難でやや劣る。
食味評価
食味試験では、「日本晴」に比べて食味が明らかに優り、「コシヒカリ」に比べても概ね同等以上という評価でした。また、流通業者・消費者の評価でも「祭り晴」と比較して同等以上の結果が得られています。
今後について
継続して栽培適性や品質、食味を検証します。また、関係機関と連携を図りながら、現地実証と流通業者・消費者の評価を重点的に行っていく予定です。これらの結果をもとに、「祭り晴」に代わる品種として、主に平坦部を対象に普及を図っていくことを検討します。
作物部作物グループ安達康弘
[島根県農業試験場だより第106号2004年7月]
お問い合わせ先
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