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‘西条’早生系における生理障害に強い系統の選抜

 

‘西条’早生系には、数種類の系統が存在します。この早生系は、以前から樹上軟化の発生が問題になっていましたが、近年発芽不良症状の発生が県内ほぼ全ての産地で増加傾向にあり、健全樹の穂木を高接ぎ更新する方法が唯一の対策です。そこで、早生系数系統について、樹上軟化及び発芽不良の発生程度や、収量性、果実品質について検討し、優良系統を選抜しました。

樹上軟化の発生程度
樹上軟化発生率は、発生の多かった2001年と2003年の平均で‘和田’‘山坂’系が明らかに低く、‘遠藤’系はややばらつきがあったものの比較的低くなりました。

発芽不良症状の発生程度
発芽不良症状は、2003年(14年生)現在で‘遠藤’‘Bわい性’‘古藤’の3系統では発生せず、その他の系統では発生が認められ、特に‘安部’‘福島’系は全ての樹で発生しました。

生育、収量及び果実品質樹冠占有面積は、‘遠藤’‘Bわい性’系が大きく、収量もこの2系統が3t/10a以上で、他系統より著しく多くなりました。果実品質については、平均果重、糖度とも‘Bわい性’系が最も優れ、次いで‘遠藤’系で、‘安部’系はやや劣りました。

以上のように、生理障害発生程度と生産性、果実品質などを総合的に評価すると‘遠藤’系が優れました。また、樹上軟化の発生がやや問題になるものの、より早熟で大玉、高糖度の系統を望む生産者には‘Bわい性’が適していると考えられました。

園芸部開発営農科持田圭介

 [島根県農業試験場だより第105号2004年3月]


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