菌床堆肥の野菜畑への施用効果
シイタケ、マイタケ等の菌床栽培では、収穫後に使用済みとなって廃棄される菌床の処理法が問題となっています。そこで、菌床の堆肥化法、野菜畑に施用する場合の施用法とその効果について検討しました。
使用済み菌床の堆肥化
堆肥の腐熟度の目安となる炭素率をみると堆積後4ヶ月までは50以上と高い値を示しましたが、6ヶ月経過すると25程度まで低下しました。また、植物の発芽を阻害する物質の濃度が低下するのにも同じくらいの期間を要しました。したがって、農地へ安心して施用するには6ヶ月程度の堆積期間が必要です(図1、2)(図は省略)。
露地野菜に対する施用効果
堆積期間6ヶ月の菌床堆肥を10a当り2t、4t、6t施用し、4種類の野菜を栽培すると、いずれの作目でも収量は4tまでは漸増しましたが、6tでは4tと同レベルとなりました(図3)(図は省略)。したがって、露地野菜に施用する菌床堆肥は10a当り2t〜4tが適量です。
また、ダイコンの栽培試験において堆肥を施用しないとホウ素欠乏症状が多発しましたが、堆肥施用量が多いほど欠乏症の発生率は低くなりました(図4)(図は省略)。これは堆肥に含まれるホウ素の効果であるとともに、堆肥の施用により土壌の保水性が向上し、ホウ素が吸収されやすくなった結果と推察されます。
堆肥の連用に伴う窒素施用量の削減
堆肥を施用すると土壌中の有機物が増加し、それが微生物によって分解されて作物が吸収しやすい無機態窒素を生成します。堆肥連用土壌ではその量が次第に増加するため施肥量を減らす必要があります。連用2〜5年目の土壌において増加する無機態窒素の量を推定し、相当量の窒素肥料を減肥した場合の収量を慣行施肥と比較するとほぼ同等の結果が得られました(図5)。菌床堆肥の連用年数と削減可能な窒素量の目安は表1のとおりです(表は省略)。
環境部土壌環境科荒木卓久・道上伸宏
[島根県農業試験場だより第104号2003年11月]
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