コシヒカリ乳白粒軽減への取り組み
島根県内では平成10年、11年産コシヒカリに乳白粒が多発したため、12年から平坦地域で5月下旬の田植えを推進してきました。12年以降、乳白粒による格下げは10、11年より少なくなってきましたが、依然として格落ちの第1位理由です。また、平坦地域のみではなく中山間地域へも拡大してきています。
過去3ヶ年の結果では、5月下旬(25日以降)の田植えは一定の成果が得られましたが、平坦地域を含む市町村での実際の実施状況は約3分の1程度です。そこで農業試験場では、作期の変更とともに、栽培管理技術による乳白粒の軽減の試験研究を行っています。具体的には、前号で紹介のあったケイ酸カリの育苗箱施用や生育診断に基づく穂肥施用などです。ここでは、これらの技術について現地で行った実証結果を紹介します。
ケイ酸カリの育苗箱施用
今年度は出雲、大田、益田、津和野の4普及部管内で展示圃が設置され、「コシヒカリ」の品質等に対する効果が検討されました。
全体的な状況として以下の点が上げられます。
- 苗質は良好で根量が多く根がらみが良い
- 生育状況、収量等には大きな差はない
- 品質は同等かやや良い結果が多い
- 登熟歩合、整粒歩合がやや良い
(津和野管内で行われた7ヵ所の平均を見ると、登熟歩合が88.7%で3%高く、米粒判別の良質粒割合が79.9%で2%高い) - 欠点としては、
- 床土への混合が面倒
- 根がらみが良すぎる場合、補植等で数本に分けると根が切れ易く注意が必要など
- 床土への混合が面倒
以上の結果から、苗質の改善には有効であり、品質向上に向けてもプラスの影響がうかがわれます。今後、生産者の皆さんが使いやすくなるため、あらかじめ床土に混入した製品の検討をすすめ、比較的安価で取り組める技術として普及できることを期待しています。
生育診断に基づく穂肥施用
今年度の栽培指針に掲載された「穂肥診断マニュアル」の効果を、県内約100ヵ所の実証圃(標高150m以下)成績から検討した結果が図2のとおりです。(図はPDF参照)基準どおりの穂肥施用で1等の割合が高くなりましたが、基準より少なくても、多くてもやや品質が落ちました。ただし、基準どおりに施用できたところが、実証圃においても約40%と少なく、今後の課題となりました。
平成15年産に向けてはマニュアルの普及と基準に合うような稲体づくりが重要と考えられます。
専門技術員狩野直
[島根県農業試験場だより第102号2003年03月]
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