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島根型養液栽培システム(軽・少量培地耕)の取り組み

 

島根農試は、環境に負荷を与えにくくリサイクル可能な有機質培地を用い、養液管理や栽培が簡単な軽・少量培地耕システムの開発・商品化を官民一体となって進めてます。同システムを導入することにより、高齢者や新規就農者でも容易に高品質生産が可能なこと、きつい作業や経験を要する灌水管理等の省力化や作業環境が改善されること、土壌病虫害を回避して生産が安定することなどがあげられます。

島根型養液栽培の特徴として、培地はヤシガラチップが主体で、軽量かつ透水性、保水性に優れています。培地量はメロン・トマトは株当たり5L程度、イチゴでは3.5L程度です。給液装置は4系統あり、1系統で最大10a(イチゴは6a)まで対応できます。培養液管理は各系統ごとの給液時間、濃度、量が設定可能で、労力分散しながら適正な規模の作付けができます。

養液は栽培用肥料1、2号を利用し、ECセンサーで制御しながら定量ポンプで自動的に混入するタンクレス仕様で、点滴チューブにより培地内に施用します。このシステムで栽培すると、苗の活着が極めて良く生育が揃い、整枝等の管理や交配が一斉に行え、均一な果実の生産が可能で、緩衝能の高い有機培地により、土耕のような感覚で栽培できます。

このシステムの導入にあたっては、新技術活用産地化モデル事業として、平成13〜14年度に圏域を限定しながら導入農家の栽培技術や経営を支援し、現地の問題点を的確かつ迅速にサポートする体制を整えています。

今後は、さらなる高品質・安定生産技術の確立と低コスト化や作業の省力化を図ること、培養液処方の改善や環境に配慮した排液制限などを検討しています。
専門技術員原卓

 [島根県農業試験場だより第101号2002年11月]


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