飼料イネの低コスト安定栽培法
水田の高度利用と飼料自給率の向上を図るため、ホールクロップサイレージ利用を目的とした飼料イネの栽培が注目されています。そこで、畜産試験場と共同で、飼料イネの栽培技術について検討しました。
飼料イネには、耐肥性・耐倒伏性が強く、茎葉を含めた収量の高い品種が適します。検討結果をもとに、‘はまさり’‘ホシアオバ(中国146号)’‘クサホナミ(関東飼206号)’の3品種が飼料作物奨励品種に指定されました。
栽培法は、基本的には、食用水稲と同じですが、所得の確保を図るため、省力・低コスト化技術の積極的な導入に努める必要があります。動力散布機を用いた散播の湛水直播栽培を行うことによって、稚苗移植栽培と比較して全重収量を減らすことなく、10a当たり労働時間5時間(34%)、費用合計7,137円(11%)の軽減ができました
施肥については、茎葉を含めた収量の向上を図るため、食用水稲に比べて多肥とする必要があります。また、施肥時期によってイネ生育に対する肥効が異なり、分げつ期の施肥はわら重を増加させる効果が高いのに対して、幼穂形成期以降の施肥(穂肥)は籾重を増加させる効果が高くなります。ホールクロップサイレージではわら、籾の両方とも必要なので、基肥、分げつ期追肥、穂肥の各時期にバランスの取れた施肥を行うことが望まれます。
収穫時期については、黄熟期以降も全重収量が多少増加するものの、籾の消化性が低下し、茎葉の飼料価値も低下するので、出穂後30日頃の糊熟期から黄熟期の時期が適しています。
作物部作物科安原宏宣・山口裕司
[島根県農業試験場だより第101号2002年11月]
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