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気象災害対策(野菜)

ハウスメロン、キュウリ、トマト、ナス、ピーマン、イチゴ、キャベツ、ブロッコリー、ネギ、タマネギ、ホウレンソウ、サヤインゲン、アスパラガス、ワサビ

1ハウスメロン

風雨害、湿害
基本的対策

(1)日当たりの良い排水良好な浸冠水のない圃場を使用する。
(2)ハウスには側溝、暗渠を設け、地下水の上昇や雨水が入らないよう整備する。地盤の低い所では盛土を行なう。
(3)畝を高くする。
(4)適正な品種(本県推奨品種)を選定し、仕立て法も親づる1本又は子づる2本仕立て1つる1果着果とする。
(5)ハウスは温度等条件の許すかぎり開いて換気と採光をはかり、灌水も少なくして充実した茎葉をつくる。
(6)病害虫が多発しないよう予防散布を徹底する。

応急的な対策

(1)圃場が冠水したら畝間の水をポンプで速やかに排出する。マルチフィルムは軽くめくって畝の乾燥を促す。
(2)果実肥大期になっても根張りや茎葉の生育が弱い場合は葉面散布を実施する。
(3)被害の著しい場合、販売可能な果実は早目に収穫する。
(4)病害虫防除を徹底する。
(5)ハウスの被害は別項を参照に修理する。


低温、高温害
基本的な低温対策

(1)ハウスは日当たりの良い暖かい所に設置する。
(2)地域の気象やハウスの装備に応じた適正な栽培時期を選ぶ。優れた品種(本県推奨品種)を用いて健全な苗を定植する。
(3)定植時の地温を適正に保つ。そのためには定植準備を早めに終えてハウスを密閉し、高畝、透明フィルムのマルチなどにより地温の上昇を図る。定植直前、直後の灌水は控えめにする。
(4)定植作業は暖かい日に行ない、夕方早めに終える。
(5)ハウスの保温を強化(被覆枚数を多く)し、出入り口、フイルムの会わせ目、接地部に生ずる隙間を密閉する。保温性の高いフイルムを使うことのほかに、積極的な方法としては加温機の設置も考えられる。なお、被覆の多層化は光不足や多湿を招きやすいので適正管理に努める。

基本的な高温対策

(1)適正な品種(本県推奨品種)と栽培時期を選ぶ。
(2)ハウスの換気を促す。
(4)畝にはわらを敷く。マルチフイルムは白黒ダブルを使う。
(5)やや若い苗を定植する。つる伸長期の灌水はひかえめにして茎葉の徒長を防ぐ。

応急的な低温対策

(1)地温、気温の低い日は定植作業を延長する。
(2)ハウスは夕方早めに閉める。
(3)ハウスの隙間を点検密閉する。ハウスの側壁、妻部にフイルムを展張し、接地部に土をのせる。古ビニールをトンネル状に被覆する。

2キュウリ

雨・湿害

(1)堆きゅう肥を十分施し、土壌の通気性を保ち、吸肥性を高める。
(2)できるだけ高畝として、排水を徹底し、空気の浸透をよくし、新根発生の活力を高める。
(3)雨による土のはね上がりで、幼苗期は特にべと病など病害の発生が多いので、有効濃度の範囲内でできるだけ低濃度の殺菌剤を多めに散布して、付着した泥を洗い流すとともに、敷きわらを行い、下葉を保護する。
(4)曇天が続くと光線不足となるので、適度な摘葉を行い日射量を確保する。この場合、葉は展葉後45?50日で同化能力が低下するので、重なり合った古葉、病葉を摘葉し、通風採光をよくする。
(5)そのほか過湿や冠水は、立枯性疫病やべと病などの病害の発生を促したり、吸肥力の低下による生育不良となるので薬剤や液肥の葉面散布などの管理を十分行う。液肥の葉面散布は濃度1%(尿素の場合)を最高にそれ以下で散布する。如露で散布する場合は0.3%位の濃度で行う。


風害(台風害)

(1)畝は、風当たりが少ない方向とし、多雨時の排水がよくできるように作っておく。
(2)防風網など設置し被害を最小限にくいとめる。
(3)支柱のゆるみを直し、支え棒、張線などを行い、十分補強しておく。
(4)収穫期の場合は、果実がやや若いものも含めあらかじめ収穫しておく。また、不良果、不要な茎葉は取り除き、株の負担を軽減しておく。
(5)事後対策では、損傷した果実、落下した茎葉、果実を集めて処分し、殺菌剤を十分に散布する。また、尿素(1%を最高濃度とする)や葉面散布剤の散布を行い、側枝の発生を促進させる。
(6)株元が動揺した生育初期の株では、根の損傷を受けている場合が多いので、軽い土寄せをして、地際を保護して回復を促す。
○施設の対策
(1)耐候性ハウスでは栽培作物の有無にかかわらず強風中は密閉して室内に風を入れない。
(2)ビニルハウスの場合、瞬間最大風速30m/sec以上が予想されるとき、作物がなくてビニルを被覆している場合には事前にビニルを除去しておく。作物があるハウスでは密閉し、おさえのマイカー線、杭などゆるみを直し十分補強しておく。また、換気扇設置の場合はスイッチを入れ回転させておく。


干害

(1)土づくりが重要で、通気と保水力のある肥沃な圃場を選ぶとともに、堆きゅう肥の多施用、深耕、排水の徹底により根張りをよくする。
(2)水源の確保、灌水施設の整備が必要で、灌水のできる圃場を選ぶ。
(3)乾燥と地温の上昇を防ぐため敷きわらを行う。敷きわらは梅雨期間中は薄く敷いて、泥の跳ね上がりを防ぎ、梅雨明けからは9cm以上の厚さで全面に敷く。また、プラスチックフィルムでマルチングしている場合は、地温の上昇を防ぐためマルチの上に敷きわらをする。なお、株元の周囲は少し開けておく。
(4)地温の低い早朝又は夕方に灌水を行う。灌水は一度始めたら,雨で土壌が十分湿るまで毎日のように続ける必要がある。

寒害

(1)台木、穂木ともに作型に適した低温伸長性のある品種を選ぶ。
(2)季節風の吹く風上や圃場の周囲に防風ネットなどを設置する。
(3)半促成栽培では、定植直後の草丈の短い時期にビニルトンネルやべたがけ資材などで保温する。
(4)寒害を受けたら、葉面散布や硝酸態窒素を含む肥料による液肥を追肥し、やや低温に管理して呼吸による同化養分の消耗を防ぐ。

雹害

(1)速やかに被害の状況を調査確認して、被害程度によっては、補植や追播きを考える。
(2)損傷した部分は除去し、薬剤散布(殺菌剤)と葉面散布(尿素では最高濃度1%以下)を行い、草勢の回復を図る。
(3)草勢の回復を早めるため、幼果や不良果を摘果し、10a当たり窒素で2kg程度の追肥を行う。

3トマト

風水害、湿害
基本的な対策

(1)排水の良い日当たり良好な圃場を選ぶ。
(2)排水路を整備する。
(3)深耕、証堆肥の多施など土づくりを徹底する。
(4)高畝とする。
(5)きゅう肥など未熟有機物の過用を避ける。
(6)強風によるハウス被害は別項を参照

応急的な対策

(1)浸冠水時にはハウス内に溜まった水は速やかに排出し、水が引けば速効性肥料を施し草勢の回復を促す。
(2)下段果房は1果房当たり4?5果残し、余分な果実は早めに摘果する。
(3)雨など被害の大きい場合は出荷可能な果実を早めに収穫する。
(4)病害虫防除を徹底する。
(5)被害のはなはだしい場合は他の作物に転換する。

干害、高温害
基本的な対策

(1)深耕、堆肥の増施など土づくりを徹底する。
(2)適宜灌水し、土壌水分を適正に保つ。
(3)窒素、カリの過用をさける。
(4)敷きわら、白黒ダブルマルチなどを行ない土壌の高温と乾燥を防ぐ。
(5)果房当たりの着果数は4?5果とする。
(6)高温期の無理な栽培は避け、それまでに収量を確保するよう作型を変える。

応急対策

(1)シルバーカンレイシャなどで遮光する。
(2)尻腐病の予防をする。

低温害
基本的な対策

(1)苗床では夜温を10?12℃以下に下げないよう管理する。
(2)定植は地温が15℃以上になってから行ない、その後も最低気温10℃、地温15℃を目標に保温する。
(3)9月中下旬頃、最低気温が15℃を割り込むようになればサイドビニールを張って保温し、以降もハウス内が10?12℃以下にならないよう管理する。

応急対策

(1)低温の予想される場合はハウスを早めに閉め、古ビニールなどを掛けて保温する。
(2)地温の低い場合は定植を延期する。

4ナス

風雨害、湿害
基本的な対策

(1)灌排水に便利な作土の深い圃場を選定する。
(2)高畝とし、排水溝を整備する。
(3)防風ネットを設置する。
(4)畝には薄くわらを敷き、土の跳ね上がりを防ぐ。
(5)台風が来襲する時はあらかじめ防風ネットや支柱の補強、排水溝の整備を行ない、出荷可能な果実は早めに収穫する。強風が茎葉を直撃するようであればナスの主枝を倒す。

応急対策

(1)大雨時圃場内に溜った水は速やかに排出する。天気回復後、土壌が乾(適湿)いたら根を切らないよう浅く耕し、少量の追肥、葉面散布などを行ない草勢の回復を促す。但し、土壌の過湿時に足を踏み入れたり中耕したりすると、土壌の固結を招くので注意する。
(2)強風がおさまったら支柱を修理し、倒した主枝を誘引する。
(3)出荷できる果実は早めに収穫し、樹の負担を軽くする。
(4)降雨の合間を見て病害虫防除を実施する。
(5)傷果、病果、変色葉などは早めに除く。


干害、高温害
基本的な対策

(1)根張りを良くするため土つくりを徹底する。
(2)高畝、排水対策を徹底し、土壌の過湿による根傷みを防ぐ。
(3)梅雨明け後は敷わらを厚くして土壌の乾燥、地温の上昇を防ぐ。
(4)高温乾燥期には十分灌水する。灌水は朝方とし、日中の吸水量の増加に備える。
(5)不良果は早めに、除く、生育の悪い場合は出荷できる果実を早めに収穫する。


低温害
基本的な対策

(1)苗は定植前に十分馴化する。

5ピーマン

風水害、湿害
基本的な対策

(1)灌排水、日当たりの良い風当たりの少ない圃場を選定する。転作地を利用する場合は梅雨期に滞水するような圃場を避け、土づくりも徹底する。
(2)高畝とし、排水路も整備する。
(3)支柱を設けてネットなどに誘引する。防風網を設置する。

応急対策

(1)大雨などでたまった水は速やかに排出し、土壌水分が適湿になったら速効性の肥料を追肥して草勢の回復を促す。
(2)出荷可能な果実は早めに収穫し、樹の果実負担を軽減する。
(3)強風(台風)の予想される場合は支柱などを補強する。
(4)風がおさまれば、被害果や折れた枝を除き、薬剤を散布する。


干害、高温害
基本的な対策

(1)高温期の無理な栽培は避け、それまでに収量を確保するよう作期を早める。
(2)深耕、堆肥施用など土づくりに努め、適正施肥、特に石灰と拮抗作用を有するカリや窒素の過剰施用に注意する。
(3)土壌が乾燥しないよう十分灌水する。
(4)梅雨明け後は敷わらを厚くして土壌の高温と乾燥を防ぐ。

応急対策

(1)石灰を含む葉面散布剤を散布する。(2)被害果は早めに適除する。
(3)草勢の弱い場合は出荷できる果実を早めに収穫する。

低温害
基本的な対策

(1)無理な早植えは避け、気温、地温が所定の温度以上に上昇してから植付ける。
(2)定植は暖かい日に行ない、午後3時頃までに終える。
(3)優れた品種(本県推奨品種)を栽培する。

応急対策

(1)著しい変形果は早めに除く。

6イチゴ

凍害、低温害
(1)山間地など冬期気温の低い地帯での無理な作型は避ける。
(2)本県平坦地のハウス栽培で気温が0℃以下に下がる日は殆どないが、異常低温時には低温になりやすいので、ビニール、べた掛け資材などで保温する。
(3)露地栽培ではビニールのトンネル被覆、べた掛け資材などで保温する。
(4)夜温を5?6℃以上に保つよう保温を強化する。これより低い気温の日が続く場合は簡易暖房を行なう。


干害、高温害
(1)保水、排水の良い灌水に便利圃場を選ぶ。
(2)深耕、完熟堆肥の多施用など土づくりを徹底する。
(3)圃場が乾燥しないよう十分灌水する。
(4)ハウス栽培では秋、春先高温にならないよう換気する。


風雨害、湿害
基本的な対策

(1)排水の良好な圃場を使用する。
(2)高畝とし、排水溝を整備する。
(3)露地の苗は通気性被覆資材を掛けて強風を防ぐ。
(4)ハウスは別項を参照に対策を実施する。

 

応急対策

(1)圃場に溜った水は速やかに排出し、土壌が固結しない程度に乾けば速効性肥料を施し、草勢の回復をうながす。
(2)水害、風害の後は薬剤散布を行ない病害の発生を予防する。
(3)ハウス被害は別項を参照に修理する。

7キャベツ

凍霜害

(1)凍霜害の恐れのある場合には、夜間ビニルや不織布でトンネル状に被覆する。
(2)被害の発生した場合、被害が軽度であれば速効性の液肥の施用、薬剤散布を行ない生育の回復を促す。被害の著しい場合は播きなおす。

湿害

(1)排水の良い、灌水に便利な圃場を選ぶ。
(2)高畝栽培とする。
(3)強酸性の土壌では生育が悪く過湿の害を受けやいので、適正量の石灰を施用する。
(4)病害虫の防除を徹底する。


風水害
基本的な対策

(1)排水良好な圃場を選び、転作地はまとめて団地化する。
(2)高畝とし、排水路を整備する。
(3)固結しやすい土壌では有機物を施用し、土壌孔隙を増加させる。
(4)強風時の苗床では寒冷紗などを掛けて風の直撃を防ぐ。
(5)台風など大きな被害の予想される場合は早めに収穫する。

応急対策

(1)圃場に溜った水は速やかに排出する。
(2)土壌が適湿(乾く)になったら畝の表面の根を傷めないよう浅く耕す。
(3)速効性の液肥を追肥する。
(4)病害虫防除を徹底する。

干害、高温害

(1)結球期が高温乾燥にならないよう適切な作期を選ぶ。
(2)耐暑性、耐病性の優れた品種を選ぶ。
(3)灌水の便利な畑に栽培し、乾燥期には十分灌水する。
(4)深耕、堆肥を増施し、土壌の保水性を高める。
(5)高温・乾燥期には敷わら、敷草を行ない、水分の保持と地温の低下をはかる。
(6)セル成型育苗では、播種後20?25日、本葉2.5?3枚の若苗を定植する。
(7)定植は朝夕の涼しい時に行なう。活着するまでは十分灌水する。
(8)軟腐病などの病害虫防除を徹底する。

雹害

(1)降雹はいつ、どこに発生するかの正確な予報が難しく、予防しにくい現状にある。
(2)降雹後の対策は速効性肥料を施して生育の回復を図り、傷害に伴う病害を防ぐことである。

8ブロッコリー

凍霜害

(1)春の極端な早播きは避ける。凍霜害の恐れのある場合には、トンネルや不織布で被覆する。
(2)被害の発生した場合、被害が軽度であれば速効性の液肥の施用、薬剤散布を行ない生育の回復を促す。

風水害、湿害
基本的な対策

(1)排水良好な圃場を選び、転作地はまとめて団地化する。
(2)高畝とし、排水路を整備する。
(3)固結しやすい土壌では有機物を施用し、土壌孔隙を増加させる。
(4)強風時の苗床では寒冷紗などを掛けて風の直撃を防ぐ。
(5)台風、強風が予想される場合は、定植を若干遅らす。また、やや深植にして、風による茎元のダメージを防ぐ。
(6)生育途中では、土寄せを行い倒伏しにくくする。

応急対策

(1)圃場に溜った水は速やかに排出する。
(2)土壌が適湿(乾く)になったら畝の表面の根を傷めないよう浅く耕す。
(3)速効性の液肥を追肥する。
(4)病害虫防除を徹底する。

干害、高温害

(1)花蕾肥大期が高温乾燥にならないよう適切な作期を選ぶ。
(2)平均気温が10℃程度になってから定植する。耐暑性、耐病性の優れた品種を選ぶ。
(3)灌水の便利な畑に栽培し、乾燥期には十分灌水する。
(4)深耕、堆肥を増施し、土壌の保水性を高める。
(5)高温・乾燥期には敷わら、敷草を行ない、水分の保持と地温の低下をはかる。
(6)セル成型苗では、播種後20?25日程度、本葉2.5?3枚の若苗を定植する。
(7)定植は朝夕の涼しい時に行なう。活着するまでは十分灌水する。
(8)軟腐病、根こぶ病などの病害虫防除を徹底する。

雹害

(1)降雹はいつ、どこに発生するかの正確な予報が難しく、予防しにくい現状にある。
(2)降雹後の対策は速効性肥料を施して生育の回復を図り、傷害に伴う病害を防ぐことである。

9ネギ

干害・高温害
青ネギ

(1)発芽は15?20℃に管理し、高温による発芽率低下を防ぐ。温度が低い場合は、発芽に日数を要するが、適温幅は広い。
(2)高温期の播種時は、遮光資材による地温低下と適湿の確保を図る。
(3)深耕、堆肥の増施など土壌の保水力を高める。
(4)ハウスの連作圃場では、塩類集積による生育障害が起きやすく、乾燥、高温によって障害は助長される。このため、除塩や天地返しを行い、土壌分析によって土壌環境を改善する。
(5)セル成型苗による移植栽培によって、幼苗期の生育揃い、在圃期間の短縮、病害虫の被害回避等が可能となる。

 

白ネギ

(1)原則灌水しない。萎凋を起こすようであれば少量灌水する。
(2)夏季の土寄せは、葉の分岐点より5cm以下(心を埋めない)までとする。
(3)病害虫防除を徹底する。

湿害

(1)排水の良い、灌水に便利な圃場を選ぶ。
(2)暗渠・明渠排水により、通気性を良くする。
(3)強酸性の土壌では生育が悪く過湿の害を受けやすいので、適正量の石灰を施用する。
(4)病害虫の防除を徹底する。

凍霜害

(1)凍霜害の恐れのある場合には、夜間ビニルや不織布でトンネル状に被覆する。
(2)被害の発生した場合、被害が軽度であれば速効性の液肥の施用、薬剤散布を行ない生育の回復を促す。被害の著しい場合、青ネギは播きなおす。

雪害

(1)ハウスは降雪に備えて支柱や番線でハウス強度を高めておき、屋根に溜まった雪をおろす。ハウスサイドに溜まった雪もできるだけ除雪する。
(2)白ネギは、収穫出荷可能なものはできるだけ出荷しておく。事前に多めに収穫して冷暗所(作業場)等にこもやゴザ等で束ねて立てておき、順次調製・出荷する。

10タマネギ

干害

(1)灌水に便利な圃場を選ぶ。
(2)深耕、堆肥の増施など土壌の保水力を高める。
(3)適宜灌水する。特に苗床・球肥大期の乾燥は生育を悪くするので十分灌水する。

湿害

(1)排水の良い、灌水に便利な圃場を選ぶ。
(2)高畝栽培とする。
(3)強酸性の土壌では生育が悪く過湿の害を受けやいので、適正量の石灰を施用する。
(4)病害虫の防除を徹底する。

11ホウレンソウ

干害、高温害

(1)抽台性と併せて耐暑性、耐病性の優れた品種を選ぶ。最近の育成品種では、春?夏播き品種の内、耐暑性が強いとされている品種が120種以上あり、作型に適応したものを選択する。
(2)遮光資材を活用して、地温上昇抑制、過剰光の制限などの対策を講じる。
(3)深耕、堆肥を増施し、土壌の保水性を高める。
(4)高温・乾燥期には移植栽培(セル成型苗、ソイルブロック育苗)、通気性マルチや紙マルチなどを行ない、圃場生育期間の短縮、水分の保持と地温の低下を図る。
(5)播種及び移植は朝夕の涼しい時に行なう。高温期の栽培では、発芽抑制物質を含んだ種皮を取り除いた種子(ネーキッド種子)や発芽を高める各種処理を行った種子(プライミング種子)を用いると、発芽や生育が揃う。
(6)普通の種子の場合、高温による発芽勢や発芽率が悪くなるので、催芽処理をする。種子を流水に一昼夜浸漬し、水を切ってから冷暗所(冷蔵庫などを利用して7?8℃に管理してもよい)で陰干しして催芽する。
(7)立枯病、べと病、アブラムシ、スリップスなどの病害虫防除を徹底する。

凍霜害

(1)凍霜害の恐れのある場合には、夜間ビニルでトンネル状あるいはべた掛け資材で被覆し保温に努める。
(2)被害の発生した場合、被害が軽度であれば速効性の液肥の施用、薬剤散布を行ない生育の回復を促す。被害の著しい場合は播きなおす。

湿害

(1)排水の良い、保水性のある土壌(土づくり)に徹する。
(2)連作圃場では、有機質資材と土壌改良材を十分に投入する。
(3)強酸性の土壌では生育が悪く過湿の害を受けやいので、適正量の石灰を施用する。
(4)病害虫の防除を徹底する。

台風害(湿害)

(1)畑やハウスの排水対策を十分に行っておく。
(2)露地の場合、寒冷紗などによるべた掛けを実施する。
(3)被害後は、速やかに畑やハウスの排水を行う。
(4)中耕により表土を膨軟にするとともに土壌水分を下げる。
(5)傷ついた葉から各種病原菌が侵入するので、適薬剤を散布する。
(6)薄い液肥の施用や葉面散布により生育を回復させる。

光公害

(1)照明による抽台の早晩や難易は、作型や品種によって大きな相違がある。
(2)品種特性を確認し、光に感応しやすい品種の栽培を避ける。
(3)栽培圃場の照度(夜間照明)を確認する。
(4)高温ほど抽台を促進するので、ハウス栽培では換気を十分行う。
(5)昼間の光の強さも影響し、遮光や密植栽培による減光は抽台を助長する。
(6)生育を速やかに進めるため、適切な施肥と灌水に心掛ける。
(7)光の入射を防ぐため、光源に近い部分をシルバービニール等で遮蔽する。

12サヤインゲン

雨・湿害
事前対策

(1)圃場周辺に排水溝を整備して、圃場内に滞水しないよう排水路の末端で落水するように整備しておく。
(2)畝面は中央を高くし、畝内が過湿状態にならないようにする。
(3)排水の悪い圃場では、高畝栽培とする。
(4)マルチ栽培により、過剰水分の侵入を防ぎ、肥料の流亡を軽減する。

事後対策

(1)迅速に排水を図り、根部の通気性を良くする。
(2)殺菌剤を散布し、付着した泥を洗い流す。
(3)根の傷みが激しい場合は、薄い液肥を施用する。

風害
事前対策

(1)圃場周囲に防風ネットを張る。
(2)露地栽培では台風襲来時に、支柱の固定を強化し、誘引固定をして茎葉、若莢の損傷を少なくする。
(3)さらに強風が予想される場合は、支柱ごと倒すか、誘引をはずして地面にはわせて上に防風ネットや寒冷紗などを直接被覆する。

事後対策

(1)作物に直接被覆したネット、寒冷紗は速やかに除去し、支柱を張り直す。
(2)損傷した茎葉を除去し、病害の予防散布を行う。


干害
事前対策

(1)渇水期に水源が期待できない所では、雨水を利用したため池や用水タンクを設置して、用水の確保に努める。
(2)圃場に堆肥などの有機物を毎年施用し、保水、保肥力を増強する。
(3)深耕により根群域を広げ、耐干性を高める。有機物施用と並行して行うとより効果的である。
(4)マルチ栽培により、土壌表面からの水分の蒸発を抑制する。
(5)常襲干ばつ地帯では乾燥害に強い作物(カボチャ、スイカ、カンショなど)に転換する。

事後対策

(1)干ばつ時で灌水用の用水確保が困難な場合は、夜間に灌水する。
(2)灌水効果の高い播種時期と開花期以降に重点的に灌水する。

高温害

(1)盛夏期でもあまり高温とならない、比較的標高の高いところで栽培する。
(2)乾燥は高温害を助長するので、灌水のできる圃場で栽培する。
(3)深耕により根群域を広げ、耐暑性を高める。有機物施用と並行して行うとより効果的である。
(4)梅雨明け時から畝上に敷きわらを厚めに行い、地温上昇を抑制する。

13アスパラガス

風害(台風害)

(1)圃場の風を受けやすい側に防風ネットなどを張って、茎葉の損傷を防ぐ。
(2)立茎開始までに、畝面から50?90cmの高さにネットを水平に張り、さらに130?150cmの高さにひもを張る。
(3)茎は先刈りによって整枝し、風の影響を少なくする。先刈りは母茎の立茎開始後、草丈100?120cmに達したとき、茎頂部を1cm程度摘心すると、収量への影響は少なく、倒伏は軽減される。
(4)茎葉が傷つくと病害が発生しやすいので、台風通過後は早めに薬剤散布を行う。

雨害

(1)明渠、暗渠などを整備し、滞水、冠水しないように排水に努める。
(2)排水が悪い圃場では高畝とする。
(3)日照不足により茎葉は軟弱徒長気味となり、病気がまん延しやすいので、薬剤散布を行う。
(4)長期どり栽培(全期立茎栽培)では立茎数を株当たり4?5本とし、過繁茂とならないようにする。また、茎枯病被害茎は早期に取り除き、更新する。
(5)母茎の立茎前に、堆肥や敷き草などで畝面をマルチし、降雨による泥の跳ね上がりを防ぎ、茎枯病の一次感染を回避する。
(6)ビニルハウスを利用して雨よけ栽培をする。

凍霜害

(1)萌芽期に凍霜害のおそれのある場合は、保温マット、ビニル、不織布、寒冷紗などをトンネル状に被覆する。
(2)異常低温が予想される場合には、ハウスやトンネル栽培でもハウス内では三重カーテン、トンネルには保温マットなどを被覆して保温を図る。
(3)寒気流の入りやすい方向には、圃場の周囲に防風ネット、寒冷紗などで防風垣を設置する。
(4)被害を受けた若茎は、貯蔵養分の無駄な消耗を省くために、刈り取って処分する。

干害

(1)春の収穫前から株の黄化が進行するまで、年間を通して土壌が乾燥しないように灌水する。特に、蒸散の激しい夏期は頻繁に灌水する。灌水の目安は土壌水分張力でpFl.5?2.0とする。
(2)畝の表層を乾燥させないように、母茎の立茎前に堆肥や敷き草などでマルチをする。

14ワサビ

風水害
基本的な対策

(1)ワサビ田付近一帯の森林保護につとめる。
(2)ワサビ田は渓流の直接利用を避け、堤防を設ける。地形によっては渓流と離れた場所に築田し、導水路によって水を流すようにする。湧水の豊富なところではこの方法が適している。
(3)水の流し口付近に沈砂糟を設ける。
(4)大雨の予想される場合は水の取り入れ口を閉じ、濁流の流入を防ぐ。
(5)大きな被害が予想される場合は収穫を早める。
(6)被害後苗不足に陥ることが多い。被害後の種苗確保に努める。

被害後の対策

(1)流入した土砂、ごみなどを除き、水が均一に流れるようにする。
(2)決壊、崩壊か所を修理し、被陰樹が倒れて直射日光が当たるようになった場合は黒カンレイシャなどで遮光する。
(3)収穫後の床洗いはとくにていねいに行ない、泥土を洗い流す。
(4)病害虫の防除を徹底する。

干害

(1)年間の水量変化の少ない湧水などを利用する。
(2)ワサビ田の大きさは夏期の渇水期の水量を基準に決定し、無理に広くしない。
(3)熊笹などを株間に敷く。
(4)チューブなどを敷いて灌水する。

雪害

(1)栽培の場所は雪崩の起きにくいところに設ける。
(2)流れ込んだ土砂などは除去し、水が均一に流れるようにする。
(3)被陰樹の少なくなったところでは応急的に黒カンレイシャで遮光する。
(4)病害虫の防除を徹底する。


お問い合わせ先

農業技術センター

島根県農業技術センター
〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440
 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380
 nougi@pref.shimane.lg.jp
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