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気象災害対策(台風6号に対する被害防止対策)

島根県農業技術センター
気象災害対策
平成16年6月18日
専門技術員スタッフ
台風6号に対する被害防止対策について
水稲

1.事前対策
・浸冠水被害を考慮し、排水路の清掃、補修及び畦畔の補強を行う。
・畦畔等の刈草を処分し、用水路などに流出させない。
・強風による脱水を防ぐため、やや深めの湛水をしておく。
・進路によっては潮位がかなり高まることが予想される。日本海沿岸地域等では塩水の逆流防止対策を講ずる。

2.事後対策
・浸冠水した場合は一刻も早く排水できるように努める(用排水路のゴミ除去も徹底する)。
・用水の入れ替えを行い根の活力を高め、その後は通常の管理とする。
・高潮により塩水が流入した水田では、真水の潅排水を繰り返して除塩する。
・浸冠水により白葉枯病やアワヨトウの発生が懸念される。白葉枯病の常習発生地では水が退いた後に薬剤散布を行う。
大豆

1.事前対策
圃場内の作溝の再点検を行うとともに、排水路の清掃、補修を行う。

2.事後対策
・播種・出芽済みのところでは、表面水を速やかに排除するように排水対策を行う。
・近々に播種予定のところでは、土壌水分の状況によっては、播種日を遅らせる。
野菜

1.ハウス対策
(1)事前対策
・天窓、側窓、出入口等は開かないよう密閉、固定する。被覆資材は押さえ金具、バンドの締め直し、バンド固定パイプの補強、屋根、褄、接地部のビニールのたるみや破れを補修する。骨組や、防風ネットはしっかりと固定補強する。
・排水溝を整備補修し、圃場周辺の排水路を掃除して大雨に備える。
・ハウス周囲を清掃して木片などの飛来をなくし、施設への破損を最小限にする。
・休閑ハウスはビニールを除く。
・高温や過湿により換気せざるを得ない場合は風下側で行なう。
・強風下頻繁に点検して破損は見つけ次第補修するとよいが、安全を優先して無理な作業を避ける。
・フィルムの破損が著しい場合、メロン、トマト等の果菜類は誘引紐を切ってつるを倒し、ほうれんそうなどの葉菜類ではカンレイシャ等を直掛けする。
・最悪の場合、パイプハウスでは人の安全を確かめながら被覆フィルムを風下側から裂き、ハウスの倒壊を防ぐ。

(2)事後対策
・風が弱まったら風下側から順次開いて換気し、骨組の変形や緩み、フィルムの破れは補修する。
・停滞水は直ちに排出する。畝から浸出する水も通路に穴を掘って集め排出する。
・支柱、誘引紐の切れ、緩みは点検して立て直す。
・速効性の液肥を施用し、場合によっては葉面散布も併用して草勢の回復を図る。
・浸水により土壌が過湿になった場合はマルチを畝の肩までめくるか除き、乾燥を促す。
・出荷可能な果実は収穫する。折れた枝や傷果は除き、殺菌剤を散布する。
・壊滅的な被害を受けたら速やかに片付けし、代替作物の準備を行う。また、関係機関と連携しながら生産資材・種苗等の円滑な入手に留意する。
・台風が去った後は、好天による強光、高温、乾燥が続く場合があるので、遮光資材があれば準備しておく。

2.露地野菜
(1)事前の対策
・なす、ピーマン等は仮支柱に誘引し、アスパラガス等は防風ネット、支柱の補強、排水溝を整備し、出荷可能な茎葉は早めに収穫する。
・いちご等の苗床はカンレイシャを直掛けする。
・マルチ栽培では、裾の覆土、押さえ資材(マルチトンボ等)の確認と補強を行い、風雨による浮き上がりを防ぐ。

(2)事後対策
・溜まった水は直ちに排出し、根を傷める恐れのない場合は中耕する。いちご等の汚れた葉は洗う。
・台風が沿岸部を通過した場合は、塩害の恐れがあるため清水で散水し塩分を除去する。
・折れた枝や傷果等は除き、速効性液肥の施用、葉面散布を数回行なう。
・被害の激しい株や被害葉、落ち葉、枯葉は取り去って圃場を清潔にする。
・出荷できるものは早めに収穫するが、風雨による泥の跳ね上がりや汚れを清水で除去し、水滴を拭き取ったあとで病害等に注意して出荷物は厳選する。
・葉、果実等に傷が多くつき病菌の侵入を防止するため雨が上がったら直ちに殺菌剤を散布する。
果樹

1.事前対策
(1)施設
・収穫が終わったハウスで被覆ビニールが除去できる場合は直ちに除去し、ビニールの破損やハウスの被害を防止する。
・被覆している場合は風下のサイドの一部を風抜きように開け(ネットはあって良い)、筋交(スジカイ)を入れハウスの強度を高める。また、押さえのバンド等の締め直しをする。
・被覆したハウスが倒壊しそうな時は、風下側からビニールを切り裂く。
・果樹棚はフレ止めの控え線、突き上げ柱ともにしっかり固定しておく。
・飛散して被覆を破損しそうな物を施設周囲から除去しておく。
・施設が密集している地域や滞水し易い地域では圃場内に雨水が浸入しないように、排水路の状況を確認しておく。
(2)露地
・ぶどう・なし等果樹棚のある作物は新梢を出来るだけ誘引して風折れを防ぐ。
・風当たりの強いところでは、支柱による倒伏防止や枝裂け防止の誘引等を行う。
・大雨による滞水は樹(根)に著しい障害が発生するので、圃場内の雨水は速やかに園外へ排出できるよう園内排水溝をもうける。特に粘質土壌でタコツボにより植え付けされたところでは注意が必要である。
(3)その他
傾斜地の果樹園では、大雨によって崩れる心配があるので特に注意を要する。

2.事後対策
(1)施設
ハウスのビニールの破損や果樹棚の倒壊等で新梢や葉が被害を受けた場合は、雨が上がったら直ちに殺菌剤を散布する。
(2)露地
・葉、果実等に傷が多くついており病菌の侵入が予想されるので、雨があがったら直ちに殺菌剤を散布する。特に柿では灰色かび病の発生に注意する。
・沿岸部を通過した場合は、潮害の恐れもあるので台風通過後に降雨がなければ、葉の塩分付着状況(なめて判断)を見て多量の散水を行う。
・倒木は新たに根が切れない程度に引き起こし、主幹部の地際部に盛り土をして踏みつけ、晴れればかん水して乾燥を防ぎ、再び揺すられないように支柱でしっかり固定する。
・太い枝が折損した場合は枯れ込みが入らないように、ひび割れた部分は切り返してビニール巻や保護剤を塗る。
・被害が著しく樹勢低下が心配される場合は速効性のある化成肥料を施肥する。
・落葉や葉の破れ等が大きい場合は着果の確認後に葉数(葉面積)に見合うように摘果する。
・降雨が少なく強風の場合には,塩害の恐れがあるので,場合によっては来襲時または直後の散水も効果がある。
(3)その他
樹体の障害は被害直後から徐々に現れてくるので、数日間は樹園地を回り樹(果実、葉等)の変化を観察する。

 

 

花き


1.事前対策
・排水溝の補修、排水ポンプのチェック等を行い豪雨に対応できるように備える。また圃場周辺の排水路や排水口も掃除して水の流れをよくしておく。
・防風ネットのある圃場ではネットや支柱の補強を行う。
・強風によって倒伏、茎折れ、花・葉の損傷、黒変等を生じるので、支柱やフラワーネットの補強を行う。その際床を踏み固めないよう注意する。
・木片、小石等の飛来によりビニールやガラスが破損するので、ビニールハウス等の施設周辺の片付けを行う。
・ビニールハウスはビニールの破れ箇所の補修、押さえバンドの補強、押さえバンド取り付けパイプの浮き上がり防止対策を行う。また天窓や横窓等隙間ができないように修理しておく。
・強風時は天窓、側窓、出入り口は密閉固定する。ハウスが強風に耐えられないと判断される時はビニールを風下側から切り裂き倒壊を防ぐことも考慮するが、あくまでも人の安全を最優先する。ビニールハウスで中に作物が栽培されていない場合は前もってビニールを除去しておく。
・収穫可能なものは早めに収穫する。
・育苗箱、セル成型トレイ等で育苗中の苗や鉢物等は必要に応じて納屋等の建物へ事前に移動する。

2.事後対策
・圃場内の停滞水は速やかに排水し、過湿による障害発生を防ぐ。冠水により汚泥を被った株は清水で洗い流す。
・倒伏した株は強風がおさまり次第に引き起こし、支柱の立て直しや誘引をやりなおす。定植間もない苗で状況から見て植え直したほうがよい場合は、早急に苗の手配または播き直しを行う。
・被害の激しい株や落ち葉、枯葉は取り去って圃場を清潔にする。
・病害発生防止のため殺菌剤を予防散布する。
・草勢が弱い場合は回復のために薄い濃度の液肥を適宜散布する。
・大雨後の根が弱った状態で強光線、乾風に当たると急激な萎れが生じやすいので、日除けを短期間行って茎葉の萎れを防ぐ。
・マルチ栽培で浸水により土壌が過湿になっている場合はマルチを除き乾燥を促す。
・風台風の場合は、台風の進路によっては塩害の恐れもあるのでその場合は、ただちに植物体を清水で洗い流す。
・ビニールの破損、パイプの曲がり等の補修を行う。
・電照を行っている場合は停電に留意する。タイマーの時刻を確認調整する。また、きくは3日間の短日で内的に花成物質が生成され1週間で花芽分化が始まる。3日以内の停電であればそのまま電照を再開する。
・鉢物、花壇苗等では損傷のひどいものは早期に処分し、軽度の損傷の場合は殺菌剤の散布、追肥等を行い回復を図る。
 

畜産


1.事前対策
・強風により板、トタン等が外れて音が発生すると、牛が驚き思わぬ事故につながるので牛舎周りをしっかりと固定補強し、排水溝を整備、点検する。
・風雨により乾草等飼料作物が濡れて、品質が低下しないよう、安全な場所に移動させる。
・飼料作物は、雨害に備えて、排水溝の点検と補修を行う。
・家畜糞尿が流失しないようにシート等で被覆する。

2.事後対策
・地表の滞水を速やかに排除する。
・牛舎内等への浸水が発生し、病気等の発症したら直ちに診療を受ける。
 

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〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440
 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380
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