気象災害対策(台風23号に対する被害防止対策)
専門技術員スタッフ
1.水稲
未収穫のところでは、天候が回復ししだい速やかに刈り取れるよう、圃場内の表面排水対策を行うとともに、排水路の詰まり等無いよう点検をする。
2.大豆・そば
1)事前対策
圃場内の作溝の再点検を行うとともに、排水路の清掃、補修を行う。
2)事後対策
表面水を速やかに排除するするように、作溝の整備など排水対策を行う。
今回の台風は強風、大雨による大きな被害の発生する恐れがあるので以下の対策を徹底する。
1.ハウス対策
1)事前対策
(1)天窓、側窓、出入口等は開かないよう密閉、固定する。被覆資材は押さえ金具、バンドのしめなおし、バンド固定パイプの補強、屋根、褄、接地部のビニールのたるみ破れを補修する。骨組や、防風ネットはしっかりと固定補強する。
(2)排水溝を整備し、大雨に備える。
(3)ハウス周囲を清掃し、木片などの飛来をなくす。
(4)休閑ハウスはビニールを除く。
(5)強風下頻繁に点検して破損は見つけ次第補修するとよいが、安全を優先して無理な作業を避ける。
(6)換気せざるを得ない場合は風下側で行なう。
(7)フィルムの破損が著しい場合トマトは誘引紐を切ってつるを倒し、ホウレンソウではカンレイシャ等を直掛けする。
(8)最悪の場合、パイプハウスでは人の安全を確かめながら被覆フィルムを風下側から裂き、ハウスの倒壊を防ぐ。
2)事後対策
(1)風が弱まったら風下側から順次開いて換気し、骨組の変形や緩み、フィルムの破れは補修する。
(2)たまった水はただちに排出する。畝から浸出する水も通路の穴を掘って集め排出する。
(3)支柱、誘引紐の切れ、緩みは点検して立て直す。
(4)速効性の液肥を施用して草勢の回復を図る。
(5)出荷可能な果実は収穫する。折れた枝や傷果は除き、殺菌剤を散布する。
2.露地野菜
1)事前の対策
(1)防風ネット、支柱の補強、排水溝を整備し、出荷可能な果実は収穫する。
(2)ブロッコリー等では土寄せして株元を補強する。
2)事後対策
(1)たまった水は直ちに排出し、根を傷める恐れのない場合は中耕する。
(2)出荷できるものは早めに収穫し、折れた枝や傷果等は除き、速効性液肥の施用、葉面散布を行なう。
(3)降雨後殺菌剤を散布する。
1.事前対策
1)施設
(1)地際部やマイカー線の止め部等でパイプのサビが激しく、倒壊が心配されるような場所は、あらかじめパイプ等をそえて補強を行っておく。
(2)長期展帳型ハウス以外で収穫が終わっていれば被覆のビニールは直ちに除去し、ビニールの破損やハウスの被害を防止する。
(3)天井を被覆している場合はサイドを下ろして密閉し、筋交(スジカイ)を入れハウスの強度を高める。また、押さえのバンド等の締め直しをする。
(4)被覆したハウスが倒壊しそうな時は、風下側からビニールを切り裂く。
(5)果樹棚はフレ止めの控え線と突き上げ柱をしっかり固定しておく。
(6)飛散して被覆を破損しそうな物を施設周囲から除去しておく。
(7)暖房機や油送管等から油が漏れ出さないよう抜き取り等の対策を講じておく。
2)露地・作物
(1)収穫できるものは強風前にできるだけ収穫するが、雨水により濡れた果実は裂皮したり汚損が助長されるので、収穫後直ちに果実表面の水分を除去する。但し、過乾燥させると脱渋中の軟化を助長するので注意する。
(2)風当たりの強いところや幼木は支柱を立て、倒伏防止や枝裂け防止の誘引等を行う。
(3)西条柿は長期間滞水すると、樹上軟化が助長されるので表面排水が速やかに園外へ排出されるように園内排水溝をもうける。特に粘質土壌でタコツボにより植え付けされたところでは注意が必要である。
(4)晩生のなしは落下防止として枝吊り等を実施する。長時間の滞水は根の障害から早期落葉につながるので、速やかな排水対策を行う。
3)その他
(1)傾斜地の果樹園では、今後の大雨によって崩れる心配があるので特に注意を要する。
(2)台風の進路によっては潮風による害もあるので通過後降雨が無い場合は確認し、散水等の対策を実施する。
2.事後対策
1)施設
(1)果樹棚が倒壊した場合には、下から防除できる程度に持ち上げ、薬剤散布を行いその後に棚の修復をする。
(2)暖房機や油送管等の損傷を点検し、破損していれば直ちに修理する。
2)露地・作物
(1)倒木は新たに根が切れない程度に引き起こし、主幹部の地際部に盛り土をして踏みつけ、晴れればかん水して乾燥を防ぎ、再び揺するられないように支柱でしっかり固定をする。
(2)太い枝が折損した場合は枯れ込みが入らないように、樹がさけていない部分まで切り返して保護剤を塗る。
(3)西条柿では打ち傷等の被害があるので、通過後の収穫には注意して行う。
花き
1.事前対策
(1)排水溝の補修、排水ポンプのチェック等を行い豪雨に対応できるように備える。また圃場周辺の排水路や排水口も掃除して水の流れをよくしておく。
(2)防風ネットのある圃場ではネットや支柱の補強を行う。
(3)強風によって倒伏、茎折れ、花・葉の損傷、黒変等を生じるので、支柱やフラワーネットの補強を行う。その際床を踏み固めないよう注意する。
(4)木片、小石等の飛来によりビニールやガラスが破損するので、ビニールハウス等の施設周辺の片付けを行う。
(5)ビニールハウスはビニールの破れ箇所の補修、押さえバンドの補強、押さえバンド取り付けパイプの浮き上がり防止対策を行う。また天窓や横窓等隙間ができないように修理しておく。
(6)強風時は天窓、側窓、出入り口は密閉固定する。ハウスが強風に耐えられないと判断される時はビニールを切り裂き倒壊を防ぐことも考慮するが、あくまでも人の安全を最優先する。ビニールハウスで中に作物が栽培されていない場合は前もってビニールを除去しておく。
(7)収穫可能なものは早めに収穫する。
(8)育苗箱、セル成型トレイ等で育苗中の苗や鉢物等は必要に応じて納屋等の建物へ事前に移動する。
2.事後対策
(1)圃場内の停滞水は速やかに排水し、過湿による障害発生を防ぐ。冠水により汚泥を被った株は清水で洗い流す。
(2)倒伏した株は早めに引き起こし、支柱の立て直しや誘引をやりなおす。定植間もない苗で状況から見て植え直したほうがよい場合は、早急に苗の手配または播き直しを行う。
(3)被害の激しい株や落ち葉、枯葉は取り去って圃場を清潔にする。
(4)病害発生防止のため殺菌剤を予防散布する。
(5)草勢が弱い場合は回復のために薄い濃度で葉面散布を2~3回行う。
(6)大雨後の根が弱った状態で強光線、乾風に当たると急激な萎れが生じやすいので、日除けを短期間行って茎葉の萎れを防ぐ。
(7)マルチ栽培で浸水により土壌が過湿になっている場合はマルチを除き乾燥を促す。
(8)風台風の場合は、台風の進路によっては塩害の恐れもあるのでその場合は、ただちに植物体を清水で洗い流す。
(9)ビニールの破損、パイプの曲がり等の補修を行う。
(10)電照を行っている場合は停電に留意する。きくは3日間の短日で内的に花成物質が生成され1週間で花芽分化が始まる。3日以内の停電であればそのまま電照を再開する。
(11)鉢物、花壇苗等では損傷のひどいものは早期に処分し、軽微な場合には殺菌剤の散布、追肥等を行い回復を図る。
水害、強風害及び潮風害等の発生が予想されるので、以下の対策を講じるように努める。
1.事前対策
(1)被害の発生しやすい茶園では、明きょや暗きょ及び周囲の排水溝などといった排水対策を講じる。
(2)新植や改植された幼木園では、礫や木の枝及び敷き草などが排水溝に流入しやすいので、清掃や整備を十分に行い、雨水のせき止めが生じないようにする。
(3)幼木園や傾斜園などでは、表面流去水による土壌浸食を防止するため、敷きわらや敷き草を行う。
(4)苗ほや被覆茶園の施設を補強する。
(5)沿海部等で潮風害が予想されるときは、防風垣を設置したり、株面を直接被覆するなどして、被害の軽減を図る。
(6)幼木園では、強風で株が揺り動かされないよう対策を講じる。
(7)摘採適期頃の茶園において、台風が予想される場合には、早めに摘採する。
2.事後対策
(1)被害の初期に排水対策を講じ、被害の拡大防止に努める。
(2)葉ずれや葉傷みが発生した場合は、殺菌剤を散布する。
(3)幼木園などで、強風によって株が揺り動かされた場合には、早めに土寄せを行い、敷き草等を補給して地際部や根を保護する。
(4)葉に塩分を認めたときは、できるだけ早く水洗する。10a当たり4~5トン散水する。
(5)葉が塩害により変色した場合、被害軽微で摘採期のときは、被害葉が落葉するまで待って摘採するか、被害葉を払い落としてから摘採する。
(6)被害が先枯れや枝枯れなど大きい場合には、被害直後にせん除せず、被害部位を確認し、樹勢の回復を待って、秋あるいは翌年の春に枯死部の直下でせん除する。
(7)被害園では樹勢の回復を最優先とし、摘採・整枝・施肥・防除などには十分留意する。
1.事前対策
(1)強風により板、トタン等が外れて音が発生すると、牛が驚き思わぬ事故につながるので牛舎周りをしっかりと固定補強する。また、畜舎内に雨水が浸入しないように排水溝を点検する。
(2)風雨により乾草等飼料作物が濡れて、品質が低下しないよう、安全な場所に移動させる。
(3)飼料作物は、雨害に備えて、排水溝の点検と補修を行う。
(4)家畜糞尿が流失しないようにシート等で被覆する。
2.事後対策
(1)地表の滞水を速やかに排除する。
(2)牛舎内等への浸水が発生し、病気等の発症したら直ちに診療を受ける。
(3)飼料作物は被害程度により収穫調整作業を早め、冬作物への切り替えを進める。
お問い合わせ先
農業技術センター
島根県農業技術センター 〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380 nougi@pref.shimane.lg.jp <携帯・スマートフォンのアドレスをご利用の方> 迷惑メール対策等でドメイン指定受信等を設定されている場合に、返信メールが正しく届かない場合があります。 以下のドメインを受信できるように設定をお願いします。 @pref.shimane.lg.jp