• 背景色 
  • 文字サイズ 

気象災害対策(施設)

単棟ハウス

風害対策

1基本対策

(1)ハウスの建設に当たっては崖の上、山の稜線など風の強い場所を避けて設置する。また、パイプハウスでは直径が太く、肉厚のパイプを使う他、パイプの間隔を狭くする、筋かいを入れるなどの対策を検討する。なお、筋かいは約30m間隔に設置することにより耐力が2割上昇することが実験結果として報告されている。この他、耐風性の向上には側壁のパイプを内側に斜めに差し込む他、棟高を低くすると有効である。しかし、側壁の傾斜は耐雪性が劣り、側方換気の位置が低くなるなどの弊害があるために注意する。

(2)季節風、局地的な強風などの対策では、圃場の周囲、あるいは恒常的風上側に防風ネット、防風垣を設置する。

(3)ハウスは定期的に点検・整備する。パイプの骨組の緩み、骨材の腐蝕、被覆材の破損箇所、たるみなどは補修するとともに、両妻面の補強、抑えひものしめ直し、アンカーの点検など行って強度を保つ。

2事前対策

(1)天気予報等に注意して事前対策は早めに実施するとともに、被害後の修繕を行うために補修材の準備を検討する。

(2)休閑ハウスはビニール等の被覆材を除く。

(3)ハウス周辺の木片等飛散する物は片付けておく。ハウス点検(基本対策(3))を行うとともに天窓、側窓は風の吹き上げによって開かないよう確実に固定する。また、窓や出入口は密閉して風の吹き込みを防ぐ。

(4)収穫期で被害が予測される場合は事前に収穫する。

3応急対策

(1)強風の吹き込みを防ぐため入り口、サイド等の開閉口の密閉を行い、換気扇がある場合は運転状態にしてハウス内部を負圧(内部の圧力を下げる)にする。

(2)換気が必要な場合は、換気扇を運転状態にするか、強風が直接植物体に当たらないように風下側を開口するなど換気方法を工夫する。

(3)強風の下では頻繁に点検し、破損は見つけ次第補修するとよいが、補修作業は人の安全を最優先にして無理な作業は避ける。

(4)暴風にハウスが耐えられないと判断される場合は、ビニール等被覆材を剥いてハウスの倒壊を防ぐことも考慮する。

4事後対策

(1)強風がおさまった後、ハウスの破損、窓開閉の異常、骨組の変形や緩みなどを点検・修理する。

(2)植物体が倒伏した場合は、速やかに株を起すとともに、支柱の立て直し、フラワーネット張り、誘引等をやり直す。また、潮風害を伴い植物体に塩分が付着した場合は速やかに清水で塩分を洗い流す。

(3)その他、主要作物の被害対策は該当する品目の風害の項目を参照する。

雪害対策

1基本対策

(1)ハウスの建設に当たっては積雪の少ない、融雪の早い、見回りや除雪に便利な場所に設置する。
(2)積雪の多い地帯は単棟ハウスとし、パイプハウスでは直径が太く、肉厚のパイプを使う他、パイプの間隔を狭くして垂直に立てる、筋かいを入れるなどの対策を検討して構造的強化を図る。なお、筋かいは約30m間隔に設置することにより、耐力が2割上昇することが実験結果として報告されている。
(3)ハウスの間隔は側壁部の積雪、除雪の都合などを考慮して大きくする。機械除雪を想定する場合は稼働するに十分な隣棟間隔と、集めた雪の捨て場を確保する。
(4)屋根は勾配をできるだけ大きく(多雪地帯では5/10程度)し、円形より三角形に近い形にして屋根雪の滑落を促す。
(5)地下水の豊富な所では融雪装置(散水装置と流雪溝)の設置を検討する。
(6)ハウスは定期的に点検・整備する。パイプの骨組の緩み、骨材の腐蝕、被覆材の破損箇所たるみは補修し強度を保つ。

2事前対策

(1)屋根の被覆材の取り付けに当たっては雪の滑落を害さないよう止めつけ方法、止め付け器具に注意する。また、屋根に掛けたマイカー線、ビニール等被覆材のしわなどを除く。
(2)ハウス点検(基本対策(6))を行うとともに、降雪前に早めにハウス内に中支柱、ダイバー等を取り付けるなど補強を行う。または、被覆資材を早めに除く。また、積雪が特に多い所では雪の中に埋没するパイプの水平部分(棒パイプなど)を除く。
(3)応急の補強材は予め利用しやすい場所に整理保管しておく。

3応急対策

(1)降雪時にはハウスの見回り点検を行ない、被覆材の破損、ハウス屋根雪の滑落不良、ハウス軒下(側壁)堆雪による滑落阻害などについて遅滞なく処置する。
(2)ハウス屋根に積雪する場合は雪降ろしを行う。ハウスの外張りフイルムは密閉して日射による室内温度の上昇を図る他、加温機、ストーブ等により加温して屋根面の融雪、滑落を促す。この場合、内張りカーテンのあるハウスは内張りカーテンを開き屋根面からの放熱量を増す。
(3)ハウス軒下(側壁)を除雪し、屋根の雪とつながらないようにする。
(4)中支柱等が設置してない場合は早急に設置する。
(5)融雪装置が設置されている場合は側壁部に散水(壁面1m21時間当たり20〜40L)し側面の積雪を流去する。
(6)積雪にハウスが耐えられないと判断される場合は、ビニール等被覆材を剥いてハウスの倒壊を防ぐことも考慮する。
(7)無被覆ハウスでは骨組に付着した雪を落とす。

連棟ハウス

風害対策

1事前の対策

(1)防風林または防風垣を設置する。
(2)気象情報に注意し、施設の点検を行い、補修・補強する。
(3)ハウスは耐風性を考慮して建設する。
(4)部材は強度の等しいものを使用し、接合部は固定する。
(5)控柱の設置とともに、アンカーを打ち込み控え線で固定する。
(6)基礎をしっかりする。
(7)フィルムなどの押さえをよくするとともに、妻部には格子状の骨組みを入れ、防風ネットで覆い保護する。
(8)部材の腐食、控え線の腐食、フィルムの破れなどを定期的に点検、補修する。

2事後の対策

(1)事後は破損部の補修を行うとともに、露地栽培の風害の事後対策に準じて行う。

雪害対策

1事前の対策

(1)事前に施設の点検を行い補修する。老朽化した部分は交換する。
(2)積雪の多い地域では、耐雪性の高いハウスを建設する。
(3)積雪対策として、ハウスのパイプは、太いもの、肉厚のものを用いると共に、主骨パイプの間隔を狭めるか補強支柱を立てて谷通しパイプを支える。
(4)雪が堆積する谷の部分はホロパイプを交差させたり、ホロパイプを曲がりの直下で結束する。
(5)積雪によるハウスのねじれ等防止に、谷支柱にターンバックルを利用したクロス線を入れる。降雪の時期が過ぎれば作業の支障となりやすいので除去する。

2降雪中の対策

(1)降雪中は、ハウス上の積雪を除雪または融雪する。積雪速度が早く除雪が間に合わない時には応急的に被覆資材を切って雪をハウス内に落とす。
(2)融雪方法としては、地下水の利用、加温などがある。地下水(水温15〜16℃)を利用する場合には、直径40mmの塩化ビニールパイプの斜め下側に径2mmの穴を50cm間隔にあけ、ハウスの棟上に取りつけ、雪の降り始めから毎時10〜30tの水を通して散水する。
(3)加温を行って融雪する場合は、棚上の内張りを開けて加温する。この場合、相当量積雪してからでは効果が出難いので早目から加温を行うようにするとともに、室内の乾燥にも注意する。

3事後対策

(1)被害後は破損部をすみやかに修復して果樹が低温障害を被らないようにする。
(2)樹体の損傷については、露地栽培の雪害の事後対策に準じて行う。

4異常高温害対策

(1)土壌及び室内の湿度を注意しながら適正に保ち、健全な生育の維持につとめる。
(2)室温に注意し、各果樹の生育時期別の障害限界温度を越えないように換気する。換気の開始は樹種や生育段階にもよるが、室温30℃を概ねの目安とする。
(3)換気する場合は、側面のみならず、褄部、谷部または天上換気すると室温はよく低下する。
(4)換気のみでは温度低下しない場合には、換気扇を設置するか、被覆を除去する。

5異常低温害対策
事前の対策

(1)冷気が溜まり、低温となりやすいところを避ける。
(2)冷たい季節風の吹く方向には防風対策を行う。
(3)ハウスの密閉度を高める。
(4)多層被覆して保温性をよくする。
(5)保温性のよい資材で被覆する。
(6)予め土温を高めるように管理して室温の低下を軽減する。地下水を多孔チューブ(噴霧型)により噴霧しても保温効果がある。
(7)無加温ハウスでは、夕方早目に外張りや保温カーテンを閉めて保温につとめる。
(8)ストーブなどにより加温する。傾斜地では加温器具を下方に設置する。

 事後対策

(1)被害の程度によっても異なるが、枝基部の芽、副芽、不定芽から発生した新梢を大切に育て樹勢の回復につとめる。
(2)被害樹は、生育段階に応じて病害虫防除や新梢管理を適切に行い回復につとめる。
(3)風・雪害により被覆が破損した場合には、速やかに修復して保温につとめる。


お問い合わせ先

農業技術センター

島根県農業技術センター
〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440
 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380
 nougi@pref.shimane.lg.jp
  <携帯・スマートフォンのアドレスをご利用の方>
  迷惑メール対策等でドメイン指定受信等を設定されている場合に、返信メールが正しく届かない場合があります。
   以下のドメインを受信できるように設定をお願いします。
  @pref.shimane.lg.jp