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○作物名:ユリ

○虫害名:ユリクビナガハムシ

 


成虫と幼虫、被害状況の写真○概要
ユリにはアブラムシやスリップス類が寄生することはよく知られているが、この虫はほとんど知られていない。5月頃に稲のドロオイムシのように泥を背負った虫が葉や蕾を暴食していることがある。これがユリクビナガハムシである。この虫については市販されている病害虫解説書には全く触れられていない。

○被害と診断
5月上旬頃からナメクジが食害したような排泄物が葉の上に点々と見られる。しかし、ナメクジが歩いた跡の特徴である粘液物質は見られない。このようなとき、葉の裏などに泥を背負った虫が生息している。これが本種の幼虫である。大きくなると葉や蕾を暴食し、株を丸坊主にすることもある。主に葉の先端から食害する。被害は6月まで発生するが、その後はほとんどみられない。
成虫は体長8〜10mm、赤褐色の美しい甲虫である。卵は楕円形で、長さ1.5mmほどで、鮮やか赤色を呈し、柔らかい粘着物で覆われている。幼虫は自分の排泄した糞を体の上に背負っているので、泥が付着したように見える。糞を取り除くと虫体は赤橙色である。大きくなると10mm程度になり背負った泥をはずして、葉の基部や土中に潜り、そこで白い繭を作り蛹化する。

○発生生態
この虫の詳細な生態は不明である。島根県では年1回の発生と思われる。成虫が草むらや枯草の下などで越冬し、4月下旬頃から現れる。しばらく草を食害した後、赤い卵を葉の上や葉の基部に5〜6個ずつかためて産みつける。卵は4、5日でふ化し、腹部が大きく、頭が小さい幼虫が出現する。幼虫ははじめ糞を背負っていないが、葉を食害しだすと泥をかぶったようになる。1カ月ほどで成虫になるが、その後の生息場所や行動は不明である。日陰となるような場所や山際によく発生する。
ユリ以外の植物には寄生しないようである。野生の山ユリには寄生し、発生源となっているものと思われる。

 

 

 

 


 

 

 


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農業技術センター

島根県農業技術センター
〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440
 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380
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