○作物名:ワサビ
○病害名:墨入病
○概要
本病は島根県で発見・命名された病気である。わさび病害の中で最も代表的なもので、全国のワサビ圃場でごく普通に発生している。また、島根県でも古くからいたるところのワサビ圃場に発生しており、収量はもとより品質に大きな影響を与えている。
○病徴と診断
葉、葉柄、花軸、根茎、根に発生する。葉では、最初黒褐色の小斑点ができ、しだいに拡大して直径5〜15mmに達し、やや円味を帯びた不正形、暗褐色〜黒褐色の病斑となり、その表面に小粒点(柄子殻)が多数できる。病斑は1葉に数多くでき、付近のものと一緒になって不正形の大型病斑となり、古くなると破れる。葉柄、花軸では緑褐色〜暗褐色の縦長の病斑ができ、拡大すると周囲を取り巻き、その部分から折れたり枯死しやすい。根茎では、はじめ不正形の黒色斑点ができ、その変色は根茎表面を取り巻き、一方では内部に進み維管束に達する。維管束が侵されるとその変色が上下に進展し、切って(横断)見ると、維管束部が黒変しているため黒変がリング状になるのが特徴である。また、根が侵されると維管束が黒褐色に変色する。
○発生生態
圃場には一年中ワサビが栽培されているため、病原菌はいたるところに存在し、伝染源となる。伝染の仕方はいろんな方法があり、そのうち株わけ苗を通じて親株からの伝染、つまり苗伝染が最も多い。葉、葉柄など地上部への伝染はそれらの病斑上に形成された柄子殻から胞子が飛び出し、雨水の飛沫とともに伝播する。この場合、傷口から侵入することが多い。土壌中では被害組織の中の病原菌が根茎、根に侵入して土壌伝染する。さらに葉にできた病斑から病変が葉柄維管束を通って下におり、根茎、根に達する、特殊な伝染の仕方もする。実生栽培では種子伝染もする。
葉など地上部では、4月上旬から11月に発生するが、とくに梅雨期、9月の多雨期に多い。根茎などの地下部では盛夏期から初秋に発病が急激に増加する。
○外部リンク日本植物病名データベース
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