○作物名:チューリップ
○病害名:モザイク病、かいよう病
○概要
モザイク病は一般に花にきれいな斑が入り、新品種の一種と昔間違えられたこともある病気である。かいよう病は、葉の表皮がかいよう症状となり葉肉から浮かび上がって裂開するので、ばくれつ病とも言われている。このように、両者とも特徴的な症状をあらわす病害である。
○病徴と診断
モザイク病
株全体が侵され、葉には濃淡のあるモザイクができ、花弁に顕著な斑がはいる。草丈にはほとんど影響がない。このような保毒球根を用いて栽培を繰り返すと、しだいに生育不良となり球根も小さくなる。症状からウィルスの種類を区別することは困難である。
かいよう病
葉、茎、花、球根に発生する。葉では軽症の場合、直径2〜10mm程度の白斑となることが多く、病斑の中心部の表皮は細かい亀裂ができる。激しく発病すると表皮が組織から離れてぼろぼろになり、葉肉が露出し葉身もぼろぼろに裂ける。花梗や花弁にも発病し、つぼみの着生部や直下部が侵されやすく、ひどいときには花梗に亀裂ができ組織がずたずたにされて曲がる。花弁では火ぶくれ状になったり、裂開した小さな白斑ができ、開花しないままで終わることが多い。
○発生生態
モザイク病
病原ウィルスはチューリップブレイキングウィルス(TRV)、キュウリモザイクウィルス(CMV)によって起こる。両ウィルスとも主に保毒球根を繁殖に用いることによって伝搬するが、生育期間中は保毒株からのアブラムシによって伝染する。また、刃物によっても伝染することがある。CMVは多くの植物に寄生し、TMVはユリ科に限られる。
かいよう病
主な伝染源は保菌球根であり、病原細菌は球根の先端部の病組織内に潜伏している。最初、発芽の際に幼芽がその病斑部と接触することにより感染し、展葉後第一葉に発病する。その後、この最初の発病株から細菌が風雨によって運ばれ、病気が広がる。
○外部リンク日本植物病名データベース
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