○作物名:チャ
○虫害名:チャトゲコナジラミ
○概要
平成21年6月県西部のチャ園において、葉裏に本種幼虫と思われる害虫が発生しているとの報告を受けた。久留米大学上宮健吉博士に同定依頼したところ、チャに寄生するミカントゲコナジラミ(当時)と同定された。その後、ミカントゲコナジラミとは別種のチャトゲコナジラミであることが明らかにされた。
本種は、平成16年に京都府で初めて発生が確認され、平成24年6月現在、関東以西の20都府県で確認されている。
○形態及び生態
成虫の体長は約1.3mm、雄は雌よりやや小型で、前翅は紫褐色の不整形の白紋がある。体表面が白粉で覆われているため灰色に見える。卵は長さ0.2mmの曲玉状で短い柄がある。ふ化幼虫は淡黄色で定着すると光沢のある黒色となる。3齢を経て蛹化する。蛹殻は長さ1mm、光沢ある黒色で周囲に白色ロウ物質があり、周囲と背面に多数の刺毛を有する。
チャでの発生は年3〜4回で3齢幼虫や蛹で越冬すると考えられている。成虫の発生期は越冬世代が5月中旬、第一世代が7月上旬、第二世代が8月中旬、第三世代が10月中下旬とされている。成虫の寿命は4日短く新葉の葉裏に産卵することが多くふ化幼虫は分散せず群生することが多い。
○被害の特徴
成虫及び幼虫による葉の吸汁加害と、幼虫・蛹の分泌物により夏季以降にすす病が併発し被害が発生する。また、一番茶摘採期と成虫の発生時期が重なると収穫作業者が吸引するなどして不快害虫としての一面も見られる。
○寄主植物
本種の主な寄生植物はチャであるが、サカキ等にも寄生する。なお、海外では中国及び台湾において記載されている。また、同じ形態でカンキツ属に寄生するものがあるが、別種であることが明らかになった。
○防除対策
1)本種の卵および若齢幼虫は微少であり、また葉裏に産卵・寄生するため発見が遅れ、成虫やすす病が発生するまで気が付かないことが多い。
そのため定期的に茶園を観察し早期発見に努める。
2)茶園の風通しを良くし卵・幼虫・蛹の寄生葉除去に努める。
3)本種は卵から蛹までの期間は葉裏で固着生活することから整せん枝の時期や深さを工夫することで効果的に寄生葉を除去し次世代密度の抑制を図る。
また、除去後の寄生葉は焼却もしくは土中に埋めるなど適切に処分する。
4)放任茶園は本種の発生源になる可能性が高いので適切な管理を行い、発生拡大を抑える。
5)薬剤で防除する場合は若齢幼虫発生期に散布する。
6)発生地から苗を購入する場合は、寄生の有無に注意する。
図1チャトゲコナジラミ幼虫図2チャトゲコナジラミによる被害
お問い合わせ先
農業技術センター
島根県農業技術センター 〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380 nougi@pref.shimane.lg.jp <携帯・スマートフォンのアドレスをご利用の方> 迷惑メール対策等でドメイン指定受信等を設定されている場合に、返信メールが正しく届かない場合があります。 以下のドメインを受信できるように設定をお願いします。 @pref.shimane.lg.jp