○作物名:トマト
○病害名:萎ちょう病
○概要
本病は、トマトの代表的な土壌病害である。島根県では、1949年ごろから発生が見られ、発生はその後年々増加し、近年各地で多発する傾向がみられる。
○病徴と診断
発病時期によって侵す菌の系統、病徴が異なる。病原菌には3つの系統があり、それぞれJ1、J2、J3と呼ばれている。J1によるものが一般にいわれている萎ちょう病で、高温時に発生が多い。J3によるものは通称、根腐萎ちょう症と呼ばれており、低温時によく発生する。萎ちょう病による症状は、晴天の日中の葉のしおれと夜間の回復をしばらくの間くり返し、やがて下葉から黄化し、しおれが回復しなくなる。黄化した小葉は落葉しやすくなる。茎の導管は萎ちょうした葉の高さまで褐変し、葉柄期部の導管部も変色する。根の症状はかなり末期になってからその一部が褐変する。またJ2による症状は、J1とよく似ている。一方、根腐萎ちょう症の症状は、日中の葉のしおれは上位葉から始まり、病勢の進展は穏やかで、株全体の葉が除々にしおれて下葉から枯れ上がる。茎の導管部変色は地上15cmにとどまり、上部には達しないが、上部の茎のずいが空洞化することも多い。地下の茎部は導管部だけでなく、ずいも変色し、根は細根が腐敗消失しその跡が褐色の小斑点となり、やがて根全体が褐変し根量は著しく減少する。
○発生生態
発病と地温との関係は系統により異なり、萎ちょう病では28℃が適温で、そのため高温期に栽培する作型で多発している。これに対して、根腐萎ちょう症では10〜20℃が発病適温であり、初冬から早春にかけて地温の低い時期のハウス栽培に発生する。病原菌はともに土壌および種子で伝染し、土壌中では厚膜胞子と呼ばれる耐久体となり、被害茎葉や根の残渣とともに長期間生存する。感染は主に根の先端や傷口から起こり、導管が侵される。とくに土壌が酸性で、土寄せなどによる根の損傷や線虫の加害があると発病しやすい。
○外部リンク日本植物病名データベース
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