○作物名:スイセン
○病害虫名:キュウコンコナカイガラムシ
(Phenacoccusavenae)
○概要:平成13年7月31日、県内生産地に保管していたスイセン球根にコナカイガラムシの発生がみられた。本虫について横浜植物防疫所調査研究部に同定を依頼したところ、スイセン球根に寄生するキュウコンコナカイガラムシ(Phenacoccusavenae)で本邦未発生種であるとの回答を得た。本属の中で球根類に寄生するコナカイガラムシは本種以外に報告されていない。また、我が国では球根類に寄生するコナカイガラムシは報告されていない。19年現在、県内におけてその発生はみられていない。平成13年発生を確認した品種はユニーク(2,850球)、パルマレス(920球)、フォルテシモ(2,050球)、テータテート(6500球)である。
○形態と生態
キュウコンコナカイガラムシには雌と雄がおり,雌の体長は約3mm,体幅は約2mmである。雌には翅がなく,飛ぶことができないが,雄に翅があり,飛翔する。雄には口がないことから,羽化後数日で死亡する。雌の体色は薄いピンクであるが,体表をロウ物質が覆っているため白く,粉を噴いたように見える。雌に翅がないことから,虫が自ら移動することによる分布の拡大のスピードは遅いと思われる。その他の詳しい生態はよく判っていない。なお,オランダでは露地での越冬は困難であるとされている。
図キュウコンコナカイガラムシ(雌成虫)
○海外での発生実態
この虫は1949年に旧ソビエト連邦アルメニア地方のカラスムギ属植物の葉鞘で,初めて発見された。その後,イギリス,オランダ及び米国において,これまで分布が確認されていないトルコから輸入された球根に本種が見つかっている。また,米国ではオランダから輸入された球根類からも見つかっている。この虫の分布が確認されている国はアルメニア,ハンガリー,イスラエル,イタリア,オランダ,トルコである。寄生植物として確認された植物はイネ科カラスムギ属、ヒガンバナ科ガランサス属、レウコウジウム属、ステンベルギア属、スイセン属、アヤメ科クロッカス属、フリージア属、アヤメ属、及びユリ科シラー属、フィリティラリア属、チューリップ属、ヒアシンス属などで、これらの球根や根,イネ科では葉鞘の内側に寄生する。
○防除対策
1)本虫が寄生している球根を植え付けない。
2)発生が認められた球根は、焼却あるいは、土中深くに埋めるなどして処分する。
3)薬剤防除をする。
お問い合わせ先
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