○作物名:ピーマン
○虫害名:アブラムシ類
○概要
ピーマンではモモアカアブラムシとワタアブラムシが寄生する。ともに世界的な害虫でピーマンだけでなくナスやジャガイモなど多くの作物に寄生する。また近年両種は薬剤に対する抵抗性を獲得し、防除が困難となっている。
○被害と診断
アブラムシ類が新芽や新葉に寄生し吸汁すると葉が巻いたり、萎縮して奇形葉となる。著しい場合には芯止まりとなり枯死することもある。とくに幼苗に寄生すると被害が大きい。多発生すると果実にも群がって生息するため果実の肥大も止まる。また、アブラムシ類の脱皮殻や排泄物により葉や果実が汚れることもある。ピーマンのアブラムシ類の発生時期は種類によって異なり、モモアカアブラムシは春に多く、ワタアブラムシは夏に多い。なお、アブラムシ類はキュウリモザイクウィルスなどのウィルス病を媒介する。
アブラムシ類には同じ種類の中でも条件によって有翅虫と無翅虫が現れることが知られている。
モモアカアブラムシの体色は大きく分けて黄緑色系統と赤色系統の2系統があり、体には光沢がある。無翅虫は体長が1.8〜2.0mmである。
○発生生態
両種とも条件の良いところでは1週間程度で成虫になる。露地でのモモアカアブラムシの越冬は卵あるいは成、幼虫で行われる。卵での越冬はモモ、ウメなどの木本植物上で行われ、成虫と幼虫での越冬はキャベツ、ハクサイなどの野菜のほか、イヌガラシなどのアブラナ科雑草で行われる。春先平均気温が12℃前後になると有翅虫が活動し始め、色々な作物に移動する。
発生は春4〜6月に最も多く、秋にも多い。しかし、夏は比較的少ない。晩秋になると卵で越冬するものはモモやウメに移動する。
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