○作物名:ネギ、ニラ
○虫害名:ネギアブラムシ
○概要
ネギ類だけに発生するアブラムシで、薬剤に対しては弱い虫である。しかし、繁殖力が旺盛であり、油断すると株が枯死するほど増えるので注意をはらう必要がある。
○被害と診断
5〜6月に発生する黒色のアブラムシで、ネギやニラなどの葉や花に数百〜数千匹の虫が群生して汁を吸う。はじめのうちは特定の株に発生することが多く、多発すると株全体が本種で覆われて黒くなる。吸汁された被害葉は生長が止まる。被害を受けた株はべと病にかかりやすい。また、花の中にも寄生し、結実を妨げることがある。とくに小さな苗では株全体が枯れ上がるので被害は大きい。
ネギ萎縮病ウィルスを媒介し、感染すると葉に凸凹ができ、萎縮する。
羽のない成虫(無翅型)は体長が1.7〜2.2mm、全体が黒色で光沢がある。羽のある成虫(有翅型)は無翅型よりも幾分小さく羽の脈に黒い縁どりがあるのが特徴である。
○発生生態
この虫の詳細な生態は不明である。4月より寄生がみられ、6月にもっとも発生が多くなる。とくに降水量が少ないと発生が助長される。夏季にはほとんど姿を見かけなくなるが、10〜11月には再び増加する。島根県の雪のない地域では、冬でも小数の生・幼虫が見られる。しかし、山間部での越冬は不明である。
発育は非常に速く、好適な温度条件では1週間から10日で成虫になる。雌だけの単為生殖で増加し、増殖力は非常に大きい。成虫は毎日5〜7匹の幼虫を生み続け、一生に70匹以上生むと思われる。寄生密度が高くなると有翅型が発生し、移動分散する。
日当たりの悪いところに発生する傾向がある。ネギ、タマネギ、ラッキョウ、ニラなどのネギ類のみに寄生し、キャベツやトマトなどには全く寄生しない。
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