○作物名:トマト、ナス
○病害名:疫病、褐色腐敗病
○概要
トマトの病気の中では、一度発生するとその広がりが早く、最も恐れられている。とくに露地栽培でも6〜7月の梅雨期と10月以降雨が多いと栽培終了まで多発する。島根県においては、1937年に多発して以来、数度発生の多い年がみられた。近年ハウス栽培において、この病気の発生が目立つ。
○病徴と診断
本病は葉、茎、果実に発生する。葉にははじめ不規則で円形の灰緑色水浸状の病斑をつくり、しだいに拡大して暗褐色の大型病斑となる。湿度の高いときには病斑の表面に白色のかびがみえ、乾燥すると病斑が乾いて茶褐色となり、もろく破れやすくなる。茎や葉柄には、はじめ水侵状の暗褐色の病斑ができ、のちにくぼんで、暗黒褐色に変わり、多湿時には白いかびが生える。わき芽をかいだ部分からの発病が多く、病斑が茎をとりまくと、その上部はしおれて枯死する。果実では幼果や未熟果が侵されやすく、一見やけどのあとの様なややへこんだ暗褐色からチョコレート色の不正形病斑ができ、腐敗する。湿度が高いと表面に白色のかびが生える。
○発生生態
本病菌は、トマト、ジャガイモ、ナスに寄生し、被害植物中の菌糸によって土中で越冬し伝染源となる。水滴があるなどの条件がそろうと、2本の鞭毛(しっぽ)をもち水の中を移動することができる遊走子(胞子の一種)をつくり、気孔や傷などから侵入して一次伝染する。その後は病斑上に形成された多数の遊走子のうから放出される遊走子によって次から次ぎへと二次伝染する。胞子が水で移動することが多いので、湿度や雨が発病に大きく関与している。
○その他
ナスにおいて、トマト疫病と同属の菌による病害、褐色腐敗病の発生を確認している。
○外部リンク日本植物病名データベース
育苗時に発生したトマト疫病(左)、ナス褐色腐敗病(中、右)
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