○作物名:ナシ
○虫害名:シンクイムシ類
○概要
ナシを加害する主要種はモモシンクイガ、ナシヒメシンクイである。ナシのほかモモ、スモモ、リンゴ、ウメにも寄生する。
○被害と診断
両種はいずれも幼虫が果実に食入して果肉を食害する。モモシンクイガのふ化幼虫は果頂部の凹部や果実の側面などから食入し、果芯部を食害したのち、果肉を食い荒らす。幼虫は食入孔から虫糞を出さない。ナシヒメシンクイのふ化幼虫は果梗の基部や果頂部の凹部から食入する事が多い。細かい虫糞を出しながら果皮下を浅く食害したのち果芯部を食害するが、果肉部の食害はモモシンクイガほど多くない。食入孔付近の果皮が褐色になる。
モモシンクイガ成虫は翅を開いた大きさ約17mm、灰褐色のガである。卵は橙赤色〜赤色、長楕円形である。幼虫ははじめ橙赤色であるがしだいに乳白色となり、老熟すると再び橙赤色となる。老熟幼虫の体長は12〜14mmである。ナシヒメシンクイ成虫は翅を開いた大きさ13〜14mm、黒褐色の小さいガである。卵は偏平な楕円形で、はじめ乳白色であるがしだいに赤味を帯びる。幼虫は背面が淡赤色、腹面が橙黄色で老熟すると体長10〜12mmになる。
○発生生態
モモシンクイガは年2回発生する。成虫の発生時期は6月上旬〜7月中旬、8月〜9月上旬である。老熟幼虫が浅い土中に偏平な球形の冬繭をつくりそのなかで越冬する。5月頃冬繭を脱出した幼虫は紡錘系の夏繭をつくり蛹になる。成虫は果実に夜間産卵する。ふ化幼虫は果実を食害し、老熟すると脱出して地表で繭をつくる。繭には夏繭と冬繭があり、7月中に果実を脱出した幼虫は夏繭をつくり、越冬する幼虫は冬繭をつくる。9月以降のものは冬繭である。
ナシヒメシンクイは年4回発生する。成虫の発生時期は4月中旬〜5月中旬、6月上旬〜下旬、7月中旬〜8月上旬、8月中旬〜9月中旬である。老熟幼虫が粗皮の荒い部分に薄い繭をつくり越冬する。4〜5月に発生する越冬世代成虫はモモ、ウメなどに産卵し、ナシにはほとんど産卵しない。モモでは食入した新梢の先端がしおれる“心折れ”被害がみられ、発生時期や発生量の目安となる。
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