○作物名:ナシ
○病害名:黒星病
○概要
この病気は二十世紀ではあまり問題にならなかったが、最近この病気に弱い新水、幸水、豊水などいわゆる三水系のナシの栽培面積が増えるにつれ問題となってきている。
○病徴と診断
葉、果実、腋花芽りん片および新梢を侵す。葉では、春先に葉柄や葉脈上に細長で黒褐色の病斑が形成され、多量の黒色の胞子を形成する。それを手でふれてみるとすすがついたようになる。秋に発生すると、葉の裏に少し黒ずみ、よごれたような病斑を形成する。幼果でも葉と同じように病斑上に多量の黒色胞子を形成しすす状となる。果実が肥大すると、この病気に強い品種ではかさぶた状となる。しかし、弱い幸水などではえくぼ状となり、この部分に胞子が形成されることが多く、果実が急激に肥大する時期に発生すると裂果の一因となる。
りん片に発生した病斑は、しだいに拡大して基部に達し、芽基部病斑となって翌年の伝染源となる。なお、新梢の先端部にはかさぶた状の病斑が形成されるが、はげて落ちることが多く、翌年の伝染源となることは少ない。
○発生生態
本病菌は前年秋に落葉した葉の上で越冬し、最初の伝染源となる場合と、りん片に感染した状態で越冬し、春発病する場合がある。発病した後は新病斑上で形成された胞子によって次から次へと伝染していく。
りん片脱落期直後から二分咲き頃までがとくに重要な感染時期であり、4月下旬に初発生する。病原菌の適温は20℃と比較的低温を好み、5〜6月頃に冷涼な気候が続くと発病は多い。夏には高温で一時発生が衰えるが秋になると再び増加する。なお、秋に発生が多いと翌年の伝染源が多くなる。品種によって発病に差があり、一般に幸水、晩三吉など赤ナシは弱く、二十世紀は比較的強い。しかし、二十世紀でも年によっては多発生することがある。
○外部リンク日本植物病名データベース
黒星病(枝病斑)
黒星病菌(分生子、偽子のう殻、子のう胞子)
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