○作物名:ムギ
○病害名:赤かび病・黒穂病類
○概要
いずれも穂に発生する。赤かび病は開花期から乳熟期にかけて雨が多いと発生が多く、大きな減収をもたらす。黒穂病は明治時代にはムギの最重要病害とされていたが、その後の防除対策により、現在ではほとんど被害がみられない程度の少ない発生となっている。
○病徴と診断
赤かび病:おもに穂に発生する。出穂から乳熟期にかけて、穂のー部あるいは全部が褐色になり、穎の合わせ目に鮭肉色のかび(分生胞子)ができる。病気にかかった子実は稔実が悪く、多発の際の減収は60〜70%にも及ぶ。被害麦を食用、飼料にすると中毒症状をおこすことがある。
裸黒穂病;子実は灰色の薄い膜に包まれているが、破れて黒褐色の粉の塊が出てくる。黒い粉(黒穂胞子、厚膜胞子)は風や雨で流され、最後には穂軸だけになってしまう。
なまぐさ黒線病;出穂までは見分けが困難である。出穂すると穂が細長く緑色を長く保つ。病粒は灰褐色に変わり、暗褐色の粉(黒穂胞子)が薄い半透明の黒色の膜に包まれている。病粒が腐った魚のような、なまぐさい臭いがする。
堅黒穂病;裸黒穂病とちがい黒い粉は塊となり銀白色の膜に包まれ、収穫期になっても破れず飛散しない。
○発生生態
赤かび病;菌糸や胞子がムギの被害種子、稈やイネの刈株などに付着または寄生して越冬し伝染源になる。ムギは出穂から約2週間の間が最も侵されやすく、出穂前後から乳熟期にかけて曇天、小雨が続き、温度が高いと多発する。
裸黒穂病;開花期に風で飛ばされた黒穂胞子が胚の組織に入って休眠する。この病種子を播種すると、菌はムギの生長とともに発育して、穂が形成されると再び黒穂となる。
なまぐさ黒穂病、竪黒穂病;収穫、脱穀時に病粒が破れ健全種子に付着する。これを播くと胞子が子葉鞘より侵入し、穂が再び黒穂となる。なまぐさ黒穂病は土中で生存していた胞子から感染することもある。
資料:島根県農作物病害虫雑草図鑑
○外部リンク日本植物病名データベース
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