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○作物名:クリ

○虫害名:クリシギゾウムシ、クリミガ

 


被害と幼虫写真○概要
両種はともに中晩生種の果実成熟末期から収穫直後にかけて加害が始まり、輸送中や貯蔵中に被害が現れる。両種の被害は古くから問題となっており、今日にようなくん蒸法が確立されるまでは水浸法、温湯処理などの防除方法がとられていた。

○被害と診断
クリシギゾウムシ

 被害果は果皮に産卵のための小さな穴があいている。果実の渋皮に沿って浅く線条に食害され、食外部には細かい虫糞がつまっている。その後、幼虫が発育すると果実の内部が食害される。食害した跡には細かい虫糞が充満しており、果外に虫糞をださない。被害果は食害が進むと果皮が黒くなり、外観上見分けられるようになるが、被害の初期では産卵のための小さな穴があるだけで見落としやすい。10月中旬以降になると老熟幼虫が脱出した丸い穴があいている。被害は収穫時期の遅い品種や標高の高い園で多い。

 成虫は体長8〜10mm、暗褐色で淡黄白色の毛が密生したゾウムシである。口吻は細長く、光沢のある黒褐色でわずかに湾曲している。幼虫は胸部肥大した紡錘形で脚はない。弱齢期は乳白色であるが老熟すると淡黄色になり、体長12mm位になる。

クリミガ

 被害きゅうはイガの基部および果実の上皮と座の境に小さな穴があいている。穴の付近には細かい虫糞がたくさんでている。果実は渋皮の下が広く食害されているが、内部には虫糞がほとんどない。10月下旬以降になると老熟幼虫が脱出した穴があいている。

 成虫は翅を開いた大きさ18mm内外のガで、全体が灰白色、前翅の中央には褐色の波状線があり、翅の縁には黒褐色の太い線がある。幼虫は乳白色で頭部は黄褐色、老熟すると17〜20mmになる。

○発生生態
クリシギゾウムシ

 2〜3年で1回発生する。成虫は9月上旬〜10月中旬に羽化し、果皮と渋皮に間に1個ずつ産卵する。卵は10月上旬頃からふ化し、幼虫が果実を食害する。老熟した幼虫は10月中旬ごろから果実を脱出して土中に潜り、幼虫のまま越冬するが、成虫になるのは2〜3年後の秋である。
クリミガ

 年1回の発生で、成虫は8月末から9月中旬に羽化する。成虫は羽化後間もなく果梗の基部や葉裏に1個ずつ産卵する。ふ化幼虫は直ちに果実に食入する。老熟した幼虫は10月下旬頃から果実を脱出して落葉下などで繭をつくって越冬する。翌年8月中旬〜9月中旬に蛹となり、14〜22日で羽化する。

 

 

 


 

 


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