○作物名:ブドウ,ナシ,クリ、オウトウ、クワ、ボタン
○病害名:白紋羽病、ならたけ病、ならたけもどき病
○概要
近年,県下のハウス栽培デラウェアを中心に,衰弱したり,枯れたりするブドウ樹が目だつようになった。昭和59〜60年に,本県でこの原因調査が行われた結果,約60%が白紋羽病,約35%がならたけ病によるものであることがわかった。これらの病害は,全国ではブドウのほかに,ナシなど多くの果樹でも発生がみられており,防除が難しいことから最も恐れられている土壌病害である。
○病徴と診断
白紋羽病,ならたけ病ともに,発病の初期にはほとんど症状を現さないが,被害樹はしだいに衰弱して葉が黄色くなったり,萎れたりする。発芽や展葉が遅れることもある。白紋羽病は,ならたけ病に比べて症状の進行が速く,若木では発病すると2,3年で枯れる場合が多い。根を掘ってみると,その表面には白色,ねずみ色の菌糸がからみつき,皮の下にも白色で扇状の菌糸がはびこっている。
一方,ならたけ病に侵された根は材部が水っぽく腐り,皮下には純白の菌糸が膜状に張り付いている。これらは独特なきのこの芳香があり,春又は秋に被害樹の株もとには茸(タケ)が生えることがある。
○発生生態
両病害の病原菌はともに,果樹,樹木,野菜など非常に多くの作物を侵し,これらの作物の発病跡地へブドウを植えた場合に被害を受けることが多い。また,病原菌が付着した苗を植えて発病することもある。園内では,地下で発病樹の根が隣の健全なブドウの根に触れて被害が広がる。
十分に腐っていない雑木やわらなどを土の中に埋めると病原菌の増殖が助長され,大きな被害をうけやすい。また,天候不順や果実のならせすぎなどで樹勢が衰えた場合に発病しやすい傾向がある。
○外部リンク日本植物病名データベース
白紋羽病(ブドウ:発病樹、被害根)
白紋羽病(ブドウ左:接種(バーク堆肥中)、病原菌(菌糸)、菌そう(PDA培地)
白紋羽病(クワ:被害根)
白紋羽病(左:オウトウ、中、右:ボタン)
ならたけ病(ブドウ:発病樹、被害根)
ならたけ病(ブドウ左、中:ならたけの茸、右:ならたけ病菌(菌そう)
ならたけもどき病(クリ:発病樹、被害根)
ならたけもどき病の症状はならたけ病とよく似ている。きのこはならたけと似るが、傘の下の柄につばがない点で区別される。
ならたけもどき病(クリ:左、中、発病樹、樹皮をはいだところに見られる菌糸層)
ならたけもどき病(クリ:きのこ)
お問い合わせ先
農業技術センター
島根県農業技術センター 〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380 nougi@pref.shimane.lg.jp <携帯・スマートフォンのアドレスをご利用の方> 迷惑メール対策等でドメイン指定受信等を設定されている場合に、返信メールが正しく届かない場合があります。 以下のドメインを受信できるように設定をお願いします。 @pref.shimane.lg.jp