○作物名:イチジク
○病害名:株枯病
○概要
本病は全国的に発生し、株が枯れ、土壌伝染することから恐れられている。本県でも最近多発し問題となっている。
○病徴と診断
6から9月の日中の高温時に新梢先端の葉が萎ちょうを繰り返し、後に下葉まで黄化し、果実のみ残して早期に落葉する。成木では、主幹地際部や主枝に不規則で大型の茶褐色から黒褐色の病斑を生じて幹が腐敗する。本病を診断するには、発病枝を切断しビニル袋にいれ25℃で7日間程度置き、褐変した部分に生じる黒色の菌そうに形成される長いひげ状の首を持つ子のう殻の有無を観察する方法を用いる。
○発生生態
本菌は厚膜胞子を有することから土壌伝染性病害であるが、土壌中で根に感染するよりは地際部から感染するようである。本病により枯死した後、抜根して再度健全苗木を定植すると高率に発病する。本菌は発病樹では深さ30cmまで(イチジクの根圏域)、外観健全樹では深さ10cm程度の浅い位置に存在する。多発園では、畝に沿って伝染する。発病樹に形成した胞子が風雨によって運ばれても伝染する。また、樹体内を本菌は移動しており苗木伝染、穂木伝染する可能性があり、キクイムシによって菌が伝搬するという報告もある。
被害樹及び、その切断した断面
被害樹上に形成した子のう殻、病原菌菌そう(PDA培地)
○防除法
1.健全な苗の利用:発病樹、発病園からの挿し穂はとらない。
2.発病樹は早期に抜き取る。
3.土壌改良する。pH8以上で菌の増殖が抑制される。pH8前後で病原菌の発育が抑制されるので、定植時にはアルカリ資材(貝類化石粉末、サンゴ化石粉末など)を用いて株元土壌をpH7.5から9程度に矯正し、薬剤防除を組み合わせると防除効果が高くなる。
○外部リンク日本植物病名データベース
お問い合わせ先
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