○作物名:イチジク
○病害名:そうか病、炭疽病
○概要
そうか病は、本県では古くから蓬莱柿(ほうらいし)が栽培されてきた浜田市、簸川郡多伎町など、数市町で発生が認められている。本県以外でも、九州や中国地方の一部でかなり多発生し、問題となっている。最近の研究で、そうか病には同属であるが種の異なる二つの菌が関与している可能性が高いことがわかってきた。そして、本県のそうか病に関与する菌と他県で関与する菌とは異なっており、その症状も少し異なることが明らかになった(島根型と全国型)。なお、最近では本県でも全国型のそうか病の発生が多い。
炭疽病は、県下の一部の地域で発生がみられる程度であるが、一度発生した園では毎年発生するようになるので注意が必要である。
○病徴と診断
そうか病(島根型);葉、新梢、果実に発生する。葉では、はじめ炭褐色のち濃褐色の直径1mm程度の病斑をつくり、中央部が灰白色に変色して穴があく。葉身の片側や、主脈に沿って病斑が多数つくられた場合には葉は奇形となり、黄色く変色してきわめて落葉しやすくなる。葉柄や新梢の病斑はよく似ており、はじめわずかにふくらんだ褐色の小斑点ができ、これはのちに中央部が灰白色で、周辺が暗褐色から紫黒色のはっきりした楕円形の病斑となる。果実では、その表面にややふくらんだ褐色の小さな斑点をつくり、多数の病斑が互いにくっつくとカサブタ状になる。
全国で発生している病徴(全国型)は、葉では、最初、暗褐色の小褐点(1mm以下)を多数形成し、古くなると中央部が白色となり、遠くからみると発病した部分が銀色に光っているように見える。果実でも同様な暗褐色の小斑点を多く形成し、著しい場合は、互いに融合し、コルク化した大型の病斑となり外観品質が低下する。
炭疽病;果実に発生する。はじめ果面に円形で暗褐色の小斑点をつくり、のちに拡大して内部が淡褐色、周辺が濃褐色のへこんだ病斑となる。末期には病斑状に黒色の小粒点(胞子層)をつくり、湿度が高いときなどにはピンク色の粘ったものを分泌する。
○発生生態
そうか病(島根型、全国型);病原菌は枝の病斑で冬を越し、翌春そこに胞子をつくり、風や雨などによって分散して一時伝染する。5月頃に初発生し、7月の降雨が多い場合、盛んに二次伝染する。とくに若木に発生しやすく、被害も大きい。
炭疽病;病原菌は菌糸または胞子の形で被害果について冬を越し、翌春これより胞子が飛び散って伝染する。成熟期に雨が多いと多発しやすい。また、病斑に集まる昆虫が病原菌を運び、病気の流行を助長することもある。
○外部リンク日本植物病名データベース
そうか病(全国型)左:葉の病斑(初期)、中、右(後期)
そうか病(全国型)左、中:果実の病斑(初期)、右(後期)
そうか病(病原菌、分生子、菌そう(PSA培地)左:全国型、右(島根型)
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