○作物名:イネ
○虫害名:イネカラバエ
○概要
島根県では,昭和30年代までは山間地で恒常的に発生し,イネの重要害虫であった。しかし,その後はこの害虫に対して耐性のある品種が栽培されるようになり,また田植時期が早まったことなどから発生は少なくなった。
○被害と診断
被害は主に山間地の水田で発生する。6〜7月に葉先が枯れたり,さらに葉に縦の細長い穴が二つぐらい並んでいる傷葉が見られる。これは,第1世代幼虫が茎内の生長点近くに寄生し,幼芽を食害した跡である。なお,この葉先枯れはイネシンガレセンチュウによるものと比べて短い。又8月中旬頃以降,出穂した穂のもみが白くかじられたようになっている傷穂が発生する。これは,7月末頃から第2世代幼虫が茎内の幼穂の柔らかいえいを食害した跡である。この時期の被害は収量に直接影響する。普通第1世代幼虫の傷葉が多ければ第2世代幼虫の被害も多くなる。
成虫は体長が約2.5mmの小さなハエで,体色は全体が黄色く,胸部の背面に黒い3本の縦縞がある。卵は白く,長楕円形で長さが1mm弱である。幼虫は白いウジで尾部は二またにわかれており,生長すると体長が約7mmになる。
○発生生態
本県での発生は年3回であるが,水田では2回発生する。若齢幼虫が主に水田周辺のスズメノテッポウ,ヌカボなどのイネ科雑草の茎内で越冬する。幼虫は春期に老熟し,蛹を経て5月中旬頃から第1回目の成虫になる。その後,水田に飛来して葉の裏に卵を1個ずつ産みつける。雌1頭あたりの産卵数は約200個である。第1世代幼虫は茎内に食いこみ約40日で蛹になる。第2回目の成虫は7月中旬頃から発生し,その後幼虫は前の世代と同じようにイネを食害する。第3回目の成虫は9月中旬頃から発生し,イネ科雑草へ移動してこの成虫による幼虫が越冬する。
イネの品種によって耐性に違いがあり,本県で栽培されている主な品種のうちで,耐性の強いものはチドリ,ニホンマサリ,ヤマビコ,幸玉,ヒメノモチ,ヤシロモチなど,中程度のものはコシヒカリ,日本晴,近畿33号,改良雄町,五百万石などである。
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