○作物名:イネ
○虫害名:イネアザミウマ
○概要
島根県では,昭和53年頃から出穂の最も早いチドリで黒点症状米の発生が問題となり始め,この原因はアザミウマ類で主にイネアザミウマであることが明らかになった。黒点症状米を発生させるアザミウマ類には,この他にイネクダアザミウマもいるが水田での発生は少ない。さらにミナミキイロアザミウマも黒点症状米を発生させるが本県では発生が確認されていない。
○被害と診断
アザミウマ類の成虫,幼虫が出穂して,開花中のほんのわずかな時間(約30分)にもみ内に侵入して閉じこめられ,肥大する玄米を吸汁し続ける。これによって玄米の腹側に縦あるいは横に割れ目が入り,この部分と周辺が黒変し,黒点症状米となる。アザミウマ類による黒点症状米はイネシンガレセンチュウによる黒点米,セジロウンカによる黒点症状米とよく似ている。しかし,この黒点症状米を拡大してみると,アザミウマ類の吸汁加害によって発生した白濁部分がある。この白濁の有無により黒点米,他の原因による黒点症状米と区別できる。又,この黒点症状米が入っているもみ内にはアザミウマの死骸がある。本県ではこの黒点症状米の発生は出穂の最も早いチドリで多い。米の検査規格では,黒点症状米はカメムシ類による斑点米などと同様に着色粒として取扱われ,これらの混入率が0.2%以上であれば等級格下げとなる。
イネアザミウマの成虫は体長が1.0〜1.5mmと小さく,体色は淡褐色〜暗褐色である。
○発生生態
本県ではイネアザミウマは年に5回ぐらい発生し,このうち水田では3回ぐらい発生する。成虫幼虫が畦畔や土手などのイネ科雑草の地際などで越冬する。4月頃から活動を始め,成虫は田植直後から水田に飛来する。6月中〜下旬から密度が急激に高まり,出穂の最も早いチドリでは7月上〜中旬頃に,つづいて出穂するコシヒカリ,日本晴などでは7月下旬頃に密度が最も高まる。その後は柔らかい植物を好むことから,水田から周辺の雑草へ移動するので密度が低下する。イネアザミウマは葉の基部や展葉前の葉の間隙などの狭いところを好み,またイネの花も好む。
お問い合わせ先
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