○作物名:イネ
○虫害名:コブノメイガ
○概要
毎年,海外から飛んでくる中型のガで,国内では越冬しないと考えられている。成虫の翅の前縁に黒紫色のコブのようにみえる部分があることから,この名前がついている。多発生する年とそうでない年があり,発生時期も年による差が大きい。
○被害と診断
幼虫がイネの葉をつづって,内側から葉身をかすり状に食べるので,食べたあとが白くなり,緑色の水田内で白い葉がよく目立つ。葉をつづる虫としてはイネツトムシがいるが,イネツトムシが2〜3枚の葉を寄せ集めて,その中で食害するのに対し,本種は1枚の葉を左右から縦に折り曲げる。はじめは一つの巻葉に若齢幼虫が数頭入っているが,中〜老齢幼虫になると1頭ずつになり,周辺の葉に移動しながら食害するので,被害巻葉は急に多くなる。巻葉を開くと,中にいる幼虫は体をねじらせて活発に跳ねる。被害は7月中旬からみられ,止葉などをひどく食害されると収量への影響も大きい。軟弱なイネや,窒素肥料のよく効いたイネで被害が多く,ウンカによる吸害や病害の発生が重なると,さらに被害は大きくなる。
成虫は体長約10mmで,翅を開くと17〜18mmの黄褐色をしたガで,翅に暗褐色の筋が2本ある。幼虫は光沢のある半透明の体で,黄緑色をしている。老齢幼虫は約15mmで,イネの葉と茎の間隙やつづり合わせた葉のなかで蛹化する。蛹はやく10mmで,茶褐色である。
○発生生態
年2〜3回の発生であるが,冬を越すことができず,ウンカと同じ頃に海外から飛来する。6月下旬頃から飛来するが,7月中旬頃に多い。昼間,成虫はイネや周辺の雑草などの葉の裏に静止しているが,日暮れ2〜3時間は活発に飛び回り,光に集まる習性がある。雌成虫は夜間イネの葉裏に1〜数個ずつ…と卵を産みつける。ふ化幼虫は葉鞘の内側を食害するが,やがて葉を巻いてそのなかで生活する。卵期間は4〜5日,幼虫期間は約20日,蛹期間は約10日で,一か月あまりで一世代を経過する。8月上〜中旬に幼虫による被害が最も多く,成虫は8月下旬から9月にかけて多くなる。
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