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○作物名:イネ

○虫害名:イネドロオイムシ


イネドロオイムシ○概要
東北,北陸地方など寒冷地で発生が多く,葉を食害する害虫である。島根県では山間地および平坦地の山沿いの水田で多発生していたが,育苗箱施薬の普及にともない被害は減少している。

○被害と診断
成虫,幼虫ともイネの葉を食害するが,成虫よりも幼虫の被害がはるかに大きい。成虫は縦に白線状の長い傷を付け,イネミズゾウムシ成虫の被害とよく似ているが,食害痕の幅は本種の方が狭い。幼虫は葉をところどころ削るように食害して幅広い白いかすり状の傷を付ける。被害の発生が大きいときは水田一面が真っ白に見えるほどである。被害を受けた株は枯れることは少なく,新しい茎や葉が出てくるので,8月はじめ頃には生育は回復したように見える。しかし,茎数は少なく穂数は減少することから,収量に影響する。
成虫の体長は約5mm,体色は青藍色で,胸部の背面はオレンジ色である。卵は長さが約0.8mm,はじめは黄色であるが,ふ化前には黒褐色になる。幼虫は背中に虫糞を背負っているので泥負虫と呼ばれている。被害葉の表面にぬれた泥の塊のようなものがあり,これをとり去るとなかから幼虫が出てくる。幼虫の体色は黄褐色で,体長は成長すると5mmぐらいになる。蛹は白いワタ状の繭の内にあり,長さは約4mmである。

○発生生態
年に1回発生し,成虫が水田付近の雑草中で越冬する。成虫は5月中旬頃から水田に飛来し,葉を食害する。5月下旬〜6月下旬に卵を葉の表面に数粒ずつ産みつける。雌1頭当りの産卵数は150〜200粒である。卵は7〜10日でふ化する。幼虫期間は14〜20日で,その後葉の上に白いまゆをつくって蛹になる。新成虫は7月の初め頃から発生し,8月には雑草に移動して,そのまま越冬する。なお,幼虫が排泄した糞を背中に押し上げているのは,直射日光を避けて湿度を保つとともに,天敵の攻撃を避けるためといわれている。
暖冬年は成虫が早くから現れ,イネの生育の早いうちから葉を食害するので被害が大きい。また,5〜6月の気温の低い年は,成虫の寿命が長く産卵数も多くなり,幼虫の死亡も少ないので被害が大きくなる。




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