○作物名:イネ
○虫害名:イネヒメハモグリバエ
○概要
北海道,東北,北陸地方などの寒冷地で発生が多い害虫である。島根県では昭和30年代後半の田植時期が早まった頃から発生が問題となり始めた。現在では田植時期の最も早いチドリなどでは恒常的に発生し,コシヒカリや日本晴などでも発生している。被害は湖や池,河川などの周辺で発生することが多い。
○被害と診断
田植後間もない時期に,幼虫が葉の中に食入して加害する。水に垂れた葉や水に浮かんでいる葉,つまり流れ葉の一部分が枯れたり,葉全体が枯れて腐る。被害葉を指ではさんでみると,葉の一部分がふくらんでおり,その中に小さな幼虫や蛹がいるのがわかる。この被害は田植え時期の早いものほど大きく,深水になっているところでは欠株になったりする。また,ときには6月の田植時期の遅いものも被害を受けることがあるが,葉の被害部が枯れてよじれ,普通は欠株までにはならない。これらの症状は植えいたみや薬害と間違えられることがある。
成虫は体長が約2.5mm,青灰色の小さなハエである。卵は長さが1mm弱で細長く,白色である。幼虫は淡黄色で,成長すると長さが3〜4mmになる。蛹は紡錘形で長さ約4mm,淡褐色〜黒褐色である。
○発生生態
本県での年間の発生回数は明らかでない。幼虫や蛹が湖や池,河川などの水辺のイネ科雑草内で越冬する。水と関係の深い害虫であり,成虫は水面を歩行したり,水面すれすれを飛ぶ。また,比較的に低温時から活動する。4月に成虫となり,雑草のなかにいて田植が始まると水田に飛来する。主に水に垂れた葉や水に浮かんでいる葉の表面に卵を1個ずつ,あるいは数個まとめて産む。雌1頭当りの産卵数は約200個である。4月下旬〜5月頃,卵は4〜5日でふ化し,幼虫は10〜15日で蛹化し,その後10日ぐらいで成虫になる。成虫は一部が再びイネに産卵するが,ほとんどのものは水辺の雑草に移動して生活する。
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