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○作物名:イネ

○病害名:いもち病

 


いもち病○概要
本病はわが国はもとより世界各地で発生し,被害に大きさからして,ムギのさび病と並んで作物最大の病害といわれている。わが国では古くから発生がみられ,過去の水稲の凶作にトビイロウンカなどとともに強く係わってきている。本県でも毎年発生がみられ,少発生年でさえもイネ病害の内では最も被害が大きい。最近では冷夏長雨の年,昭和55年には大発生し,2万トン以上の被害を蒙ったことは記憶に新しいところである。

○病徴と診断
イネの各部位に発生し,発生の部位によりそれぞれ,苗いもち,葉いもち,穂いもち,籾いもち,節いもち,葉節(葉舌)いもちなどと呼ばれている。苗いもち;鞘葉は病斑をつくらず,灰色〜暗灰色に変色し,不完全葉は中央が灰緑色,周辺が不正形の病斑をつくり,苗全体が枯死する。
葉いもち;若い葉が感染するとはじめ円形〜楕円形,中央部が灰白色の周縁が紫黒色の進展型と呼ばれる病斑を作る。このような病斑の裏側には伝染の役割をする胞子がたくさん生えてビロード状となる。やがて紡錘形となり,中央が灰白色,周縁部は褐色,その外側は黄色となって病斑の上下の葉脈は黒褐色(壊死線)となる。このような病斑は停止型病斑と呼ばれ,最も一般的な病斑である。窒素過多のイネでは白色円形の白斑型病斑をつくることがある。また,老葉や抵抗性の品種では褐色の小斑点ができ,これは褐点型病斑と呼ばれている。分けつ期に本病が多発生すると株全体の背丈が低くなる現象いわゆるズリコミ症状となる。
穂いもち;穂首の侵されたものを穂首いもちという。はじめ淡褐色となり,やがて病斑は上下に拡大しながら黒褐色となる。そして,表面にそう白色のかびが多数生える。出穂直後に侵されると水分が通らなくなって白穂となる。枝梗が侵されると黒褐色になり,発病の時期が早いとその枝梗は枯死し,部分的に白穂となる。籾が侵されるとそう白色となって枯死し,のちに灰白色となる。このようなもみでは不稔となることが多い。
節いもち;葉鞘基部の露出している節が侵され,表面に黒くくぼんだ斑点ができ,のちに節全体が黒変し,乾燥収縮して折れやすくなる。
葉節いもち;葉と葉鞘の境目を葉節といい,この部分が侵されると,はじめ黒褐色のち淡褐色となる。多量の胞子をつくり,穂いもちの主要な伝染源となる。

○発生生態
被害稲わら,種籾の病組織で菌糸又は胞子の状態で越冬する,翌春,これら病組織が水を含むとここに胞子が形成され,これが第一次伝染源となる。最近,タケやササの病斑でも越冬することが明らかとなり,伝染源としての可能性が示唆された。発病後は病斑上につくられた胞子によって伝染を繰り返す。病斑上に形成された胞子は湿度の高い,夜間に病斑から離れ,空中を飛散してイネ上に落ちる。水滴があると発芽し,いったん付着器とよばれる足場をつくって,そこからでた菌糸(侵入系)が毒素を出しながら,イネの表皮細胞を破って侵入する。本病菌の生育,胞子形成には25〜28℃,感染には24℃が適している。
島根県では葉いもちは6月10日ごろに初発生する。しかし,全般に発生がみられるようになるのは7月初めとなることが多い。このころから7月中旬にかけて発生は増加し,中山間・山間や平坦部の山沿い地帯などの常習発生地ではズリ込み症状の圃場がみられるようになる。普通の年は7月中旬〜下旬に終息する。穂いもちは出穂1週間後から発生がみられ,その後しだいに増加する。穂いもちの発生は出穂期の気象に左右されることが多い。出穂期である7月下旬から8月が低温,多雨の年には発生が多い。
本病のイネの品種によって発病に違いがあり,本県で栽培されている主要品種のうちではコシヒカリ,幸玉,近畿33号が最も弱く,日本晴,五百万石などは中程度,みほひかり,ヒメノモチ,ヤシロモチは強い。

 

 

外部リン日本植物病名データベース

 イネいもち病(外部サイト)

 

 

 


 


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