○作物名:ダイズ
○病害名:ハスモンヨトウ
○概要
ダイズやサトイモ、キャベツ、ナスなど多くの畑作物および野菜類を加害する雑食性の害虫である。島根県では県下全域で発生するが、年による変動が大きい。また、山間部よりも平坦部での発生が多い。
○被害と診断
ダイズでの被害は8月中旬頃からみられ、上方の葉の数枚が白くなる。これは若齢幼虫が葉裏に群がって生息し表皮だけを残して食害する初期被害である。このような被害は、成虫が卵塊で産卵し、ふ化幼虫がしばらくの間、集団で発育するためである。幼虫は中齢まで発育すると分散し始め、葉脈を残して葉肉を食害するようになる。幼虫の発生した株は葉が網目状に見え、多発生した場合は株全体が食害されて丸坊主になるだけでなく莢も食害される。幼虫は成長すると、主に夜間に活動する。被害が主に目立つ時期は9月から10月にかけてである。
成虫は体長が16〜20mm、翅を開いた長さ34〜41mmである。卵は50〜1000個の卵塊で産みつけられ、その表面はラクダ色の鱗毛で覆われる。幼虫ははじめ灰緑色であるが、発育するにつれてー見灰暗褐色になる。頭は茶褐色で背の中央部とその両側に縦の淡黄色の線がある。そして、各節の中央部には左右1対の半円形の黒褐色の紋があり、とくに第1腹節の斑紋は大きい。老熟した幼虫は体長が35〜45mmである。
○発生生態
本種の越冬については十分解っていないが、温度の高いハウス内では冬期も生存している。しかし、露地では越冬できないと考えられている。また、最近、この虫は移動していることが明らかにされつつある。島根県では幼虫の発生実態から、主に移動してきた虫が毎年の発生のもとになっていると思われる。
成虫の発生時期や量は年による変動が大きく、主に8月頃から11月頃まで発生する。しかし、世代の区分は明確ではない。また、幼虫の発生時期は8月中旬頃からであり、9月以降急増し、11月頃までみられる。雌はー生の間に1000〜3000個の卵を産む。また、夏期には卵から成虫になるまでに40日程度かかる。
○防除法
1.葉が白くなる被害発生初期に注意し、集団で食害している若齢幼虫を被害葉とともに切り取ってつぶす。
2.薬剤による防除は、老齢幼虫には効果が劣るので若齢幼虫期(加害初期)に重点をおく。
資料:島根県農作物病害虫雑草図鑑
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