○作物名:ブドウ
○虫害名:フタテンヒメヨコバイ
○概要
全国に分布するが,特に西日本の暖地で発生が多い。成虫,幼虫がブドウの葉のみを加害する。日当たりがよく風の当たらない露地や最近盛んなハウス内で特に発生が多い。
○被害と診断
成虫・幼虫がブドウ成葉の裏面に寄生し,吸汁加害するため,葉は緑色を失い表面がかすり状に灰白色となる。寄生数が多い場合には初秋期に早期落葉するため,枝の充実が悪くなり,翌年の発芽が不ぞろいとなる。また,ハウス栽培では露地に比べて発生量が多いうえに無袋栽培のため,本種の排泄物によって果粒が汚れ,商品価値が低下する。さらに,人が近づくと活発に飛びまわって目・口・耳などに入り,収穫作業に支障をきたす。
成虫の体長は約3mmで,うすい黄緑色の斑紋がある。幼虫は乳白色で,ふ化直後の体長は約0.5mmであるが,老熟するとやく3mmとなる。
○発生生態
年3回の発生で,成虫が落葉,園内の雑草,樹皮の間隙,ハウス資材のなかおよび家屋の軒下,板塀のなかなどで越冬する。春季4月上旬頃から成虫が越冬場所を離れブドウ園に飛来し,発芽と同時に葉裏に寄生して吸汁し,葉裏の組織内に1粒ずつ産卵する。第1世代幼虫は5月下旬から出現し,7月上旬には成虫になる。第2世代幼虫の発生時期は8月上旬〜9月上旬,第3世代は9月中旬〜10月である。8月盛んに産卵している第2世代幼虫は8月下旬の14時間以下の日長を感知して産卵を停止し休眠越冬する。9月中旬〜10月に発生する第3世代幼虫も産卵することなく越冬するので,越冬量は非常に多くなる。
冬期加温するハウス内で成虫が越冬した場合,そのなかは発育に十分な温度となるため,露地で越冬成虫が発生するまでに1世代を経過し,年4回の発生となる。また,ハウス内は無袋栽培であるので,着色期以降は果粒の汚染,果粉の溶脱のため,液剤散布が実施できないことも本種が多発生する一因である。
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