○作物名:ブドウ
○虫害名:チャノコカクモンハマキ
○概要
ブドウのほか各種植物の葉を食害するが,無袋栽培のハウスブドウでは,幼虫が果粒を食害し,裂果や腐敗果の原因となる。島根県ではフサムシと呼ばれ,とくに無加温栽培で被害が多い。
○被害と診断
幼虫が葉や果房を食害するが,葉の被害より,果房の被害が問題である。幼虫が果房の穂軸部や果梗部に寄生し,内側から果皮を食害するため,果粒が裂けたり,果汁が溢れ出て房が汚れたりする。また,房全体が腐敗して出荷できなくなる。なお,収穫が遅い大粒形品種は本種による被害が多くなる。
デラウェアは果粒が密着しているので,外側から食害中の幼虫は見つけにくい。ブドウ房を透かしてみると,穂軸部に白い糸がトンネル状に張り巡らされており,その中を幼虫が活発にはいまわっている。また,表皮が点々と食害され褐色に変色した被害葉があれば,その付近に房の被害が見られることが多い。<br.成虫は体長約6mm,翅の長さ7〜9mmで,翅に3本の暗褐色の帯がある。ふ化幼虫は1.5mmで,頭部は黒褐色であるが,脱皮すると黄褐色に変わる。老熟すると体色は鮮緑色または黄緑色となる。
○発生生態
年4回の発生で,中老齢幼虫が落葉中,樹皮下,ハウス資材の中などで越冬する。春季ブドウの発芽と同時に越冬幼虫が芽や展開中の葉を食害して蛹化する。成虫の発生時期は越冬世代が4月下旬〜5月下旬,第1世代が7月上旬〜下旬,第2世代が8月中旬〜9月中旬,第3世代が9月中旬〜10月下旬である。
加温ハウス内で幼虫が越冬した場合,加温と同時に幼虫が活動し始めて発芽直後の芽を食害し,露地での発生以前に1世代を経過し,年4回発生する。
6月上旬までに収穫すると12から2月加温ハウスでは果房の被害はないが,6月中旬から収穫するブドウで被害が多い。
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