○作物名:ブドウ
○虫害名:ブドウスカシバ
○概要
全国的に分布し,ブドウの重要な害虫で,成虫がアシナガバチに似たガである。特に本県の剪定法は長梢剪定であるので,他県に比べて本種の発生量および被害量とも多い。ブドウの他ヤマブドウ,エビズル,ノブドウなどにも寄生するので,園周辺にこれらの植物があると発生がおおくなる。また,老熟幼虫は釣餌のブドウムシとして珍重されている。
○被害と診断
幼虫が新梢に食入し加害する。幼虫が食入した部位は紫赤褐色になり,食入孔から虫糞を出す。食入された新梢は伸びが止まり先端部は徐々に萎れて枯れるが,食入部分から基部の副梢が盛んに伸びたり,着色期以前に顆粒が着色したりする。虫糞の出ている部分の枝を割ってみると中に白い幼虫がいる。老熟幼虫が食入した1年枝は紡錘形にふくれるのが特徴である。
成虫は体長20〜25mm,紫黒色の腹部に濃い黄色の2本の鮮やかな帯があり,ハチによく似ている。卵は偏平,楕円形,長さ1mmで,褐色である。幼虫は老熟すると体長30〜40mm,淡褐色で頭部は赤褐色である。蛹は18mm,褐色の紡錘形である。
○発生生態
年1回の発生で,老熟幼虫が紡錘形に膨らんだ枝内で越冬する。春季の4月中下旬頃から越冬した幼虫が蛹化し,約30日の蛹期間を経て,成虫が5月中旬〜6月中旬に羽化する。成虫は葉柄の基部などに1粒ずつ産卵する。卵は10〜15日でふ化する。幼虫は新梢に食入した後,発育しながら2〜3回転食し,新梢の基部へと移動する。8月下旬には1年枝の基部や2年枝などで老熟し越冬する。
本県で盛んなハウス栽培は,幼虫の休眠が覚めた後の12月下旬から加温するため,幼虫は加温後約20日頃から蛹化し始める。したがって,加温ハウスでは加温開始後,蛹化までの約20日と蛹期間の30日を加えた約50日後には成虫が羽化し,露地での成虫の発生時期よりかなり早いので,防除時期には十分注意する必要がある。
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