○作物名:ブドウ
○病害名:ペスタロチアつる枯病,つる割病,枝膨病
○概要
これらはいずれも枝が枯れる病害である。そのうちペスタロチアつる枯病は安来市の甲州で発生していたものを,はじめて発見・命名したものである。つる割病は古くから知られている病害であるが,枝膨病は九州地方で発生し問題となっているが、本県でも浜田市、加茂町、木次町、安来市で確認している。
○病徴と診断
ペスタロチアつる枯病;枝では多少くぼんだ紡錘形,暗褐色,2×5cmの大型で周囲が水浸状の病斑となる。のちに縦に亀裂が入り,木質部も暗褐色となって枯死する。葉では褐色で,円形,径1〜1.5cmの病斑となるが,互いに一緒になって大型病斑となる。果実では暗褐色の円形病斑となる。
つる割病,枝膨病;両病害はいずれもホモプシス属菌という糸状菌によって起こる病害であるので,症状は非常によく似ている。新梢に楕円から紡錘形の小さな黒色の病斑を生じる。一見、黒とう病病斑に似ているが、病斑の中心がやや隆起すること、病斑の周囲に縁どりがないことで区別できる。多発生すると枝全体を病斑が被い、はげしい場合には枯死する。弱い枝は枯死するが,そうでない枝は肥大とともに皮層部に縦に亀裂が出きる。とくに,枝膨病の場合は,3年生枝までは節部が偏平になり異常に肥大する。巨峰群品種は弱い。両病害とも,やがて帯状にはがれて木質部が露出するとともにえ死部分が進行する。果実でも果面に黒色小粒点ができ,果梗,穂軸などが侵されると成熟間ぎわに落下する。葉では,葉柄,葉脈に黒色病斑ができる。
○発生生態
ペスタロチアつる枯病;病原菌は枝,巻ひげ,葉などの病斑で冬を越すほか,健全な枝の表面でも潜伏して越冬する。翌春それらの上に胞子を形成し,雨の飛沫とともに新梢,果実に達して,傷口から侵入する。2〜3日の潜伏期間を経たのち発病する。病斑上には再び胞子をつくって,盛んに二次伝染する。
つる割病,枝膨病;結果母枝の病斑部,枯死したつるの表面に柄子殻や菌糸で越冬する。5月〜梅雨期,降雨のたびに胞子が飛散して,主として傷口から侵入する。古づるでは約1か月の潜伏期間ののち発病する。
○外部リンク日本植物病名データベース
枝膨病(症状、病原菌)
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