○作物名:ブドウ
○病害名:べと病
○概要
本病はわが国のブドウ産地にひろく発生しており,ネオマスカット,甲州のような欧州系の品種はかかりやすく,県下で広く栽培されているデラウェアなどは比較的強い。近年発病が多くなっており,島根県でも昭和55年の冷夏の年に多発生して大きな被害を受けた。その後も発生が多く,今ではブドウの病気のなかでは最も重要なものの一つになっている。
○病徴と診断
葉,果実に発生するが,まれに新梢にも発生する。葉では,はじめ黄色ががかった輪郭のはっきりしない斑点が現れ,日に透かしてみるとこの部分が明るく見える。葉の裏側にはやがてまっ白なかびが生え,激しく発病したときは葉の全面を覆うようになる。このような葉は,しだいに褐色に変わり,からからに乾いて落ちる。開花前の花穂に発病するとまっ白なかびがみられ,やがてゆでたようになってついに枯死する。幼果に発病すると,表面に白いかびができたのちあめ色に変わり,大きなしわができて硬くなる。このような果実は落ちやすくなる。
○発生生態
病原菌は落葉のなかに,卵胞子という特殊な胞子をつくって冬を越す。翌年,5〜6月の雨で卵胞子は発芽し,分性胞子になる。これが,さらに発芽して,6〜8個の遊走子(べん毛を動かしながら水中を泳ぎ回る胞子)となって葉裏の気孔から侵入して発病させる。病斑上には再び胞子が形成され二次伝染が繰り返される。
本病は11〜30℃の温度で発病するが,とくに22〜25℃の温度のときに発病しやすい。したがって,5月下旬から10月頃までに長期間発生するが,とくに降雨の続く梅雨期とか9月の多雨期に発生が多くなる。また,窒素がききすぎて柔らかい組織のときとか,若木などで発生が多い。病原菌がブドウの組織に入ってから発病するまでの潜伏期間は春先,気温の低いときには約10日,適温期は4〜7日と短くなる。
○外部リンク日本植物病名データベース
葉、果実の症状
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